化学科の古谷です。

大学院時代の指導教官が仰っていた言葉で、今でも鮮明に覚えているものがあります。

「自動販売機の中身を調べるような研究をしなさい」

自動販売機にお金を入れてボタンを押せば、それだけでおいしい飲み物が得られます。我々はそれで確かに幸せになれるでしょう。ところがこのとき、我々はボタンを押してから飲み物が出てくるまでどういうプロセスを経るのかについてはほとんど意識を向けません。たしかに、中身を調べることは直接の幸せには繋がらないかもしれませんが、自動販売機の中身が明らかにならなければ、今後の自動販売機の発展、あるいは他の分野に適用することによる新境地の開拓はあり得ないでしょう。基礎研究に携わる者として、こういうブラックボックスに関心を向け、それを明らかにしていくという姿勢を大事にしなければならないという言葉でした。

強者である、あるいは、これから強者になろうとする者は、将来この世を引っ張っていく存在となると思います。ですから、基礎研究者と同様、目の前の幸せをただ追い求めるのではなく、それを創り出す存在になって欲しいと思います。そのためにも「自動販売機の中身はどうなっているのか？」ということに関心を向けられる、好奇心と探求心あふれる人であって下さい。そして、研伸館の授業はそのような君たちの欲求を満たしてくれます。一緒に頑張りましょう。