藤原 克巳

藤原 克巳

Katsumi Fujiwara

主な担当講座
京大阪大・医学部物理
神大物理
高2物理特別選抜S
高2物理S
高2物理アドバンス

物理を担当している藤原です。

入試とは直接関係のない話ですが…。

「Q:静止している山や民家を、正の向きに速度20m/sで運動している電車内から見たときの、相対速度は?」

「A:山、民家共に速度-20m/s」

極めて当たり前の話のように思えますが、実際に電車からみると、遠くの山は遅く、近くの民家は速く流れていくように見えるはずです。これは人が普段周りの運動を眺めるとき、直交座標ではなく、極座標(距離と角度の変化)で眺めるくせがあるためと思われます。

天体の運動について研究していたニュートンが提唱したのは少々不思議に思いますが、「運動方程式」は、静止した直交座標系でみた物体の速度変化について考えるのが前提となっています。感覚的には「物体の運動を間近で眺めるのではなく、ものさしを引いて遠くから俯瞰した場合の運動」について述べています。

動く座標系や極座標系でみた運動を解析する場合は、運動方程式を補正する必要があり、その補正に用いられるのが「慣性力、遠心力、コリオリ力」などと呼ばれる力です。

力学を、感覚に頼って解くことの落とし穴はここらへんにあると思います。自分の実体験をもとに想像した運動が、「運動の法則」と合致した世界観でない場合、それらは間違った結論を導き出します(自分の世界観を体系化できるぐらいの“超”強者なら別ですが…)。

長い歴史を積み重ねた学術体系を学ぶ際、一人よがりに走らず、それらの法則がどのような立場から考えられたのかを正しく理解しようとする「歩み寄る姿勢」が重要であると思います。

また教える側にとっても、生徒が間違った場合に、生徒の考えている事の何処がずれているのかを正しく理解しようとする「歩み寄る姿勢」が何より重要であると考えています。

何やら作文めいた文章となってしまいましたが、以上です。一度授業を受けてみてください。共に頑張りましょう。