【強者の戦略】~東大・京大・国公立大医学部現役合格者の成功法~

『強者の戦略2011』発刊に寄せて

東京大学医学部医学科4年

目崎 可奈子 (めざき かなこ)

学に入学して早くも4年目。新入生が入学してくる度に、受験生時代の日々を今でも思い出します。東大合格を胸に毎日机に向かって格闘していた受験生時代。迎えた大学入学によって、私の視野は大きく広がったような気がします。

の春には、Stanford大学やUniversity of California San Francisco(USCF)の医学生との交流プログラムで、Palo AltoのStanford大学やSan Franciscoの病院施設を訪れる機会をいただきました。日本とは全く違うアメリカの医療制度下において、どのようにアメリカ医療が行われているのかを身をもって体感することができました。特に、国民皆保険制度のないアメリカにおいて、保険を持たない国民に対する医療として、医学生や医師のボランティアによるクリニックが存在することは、私にとって大きな発見となるものでした。その他、大学生活を楽しみながらも高い志を持って努力している現地の医学生との交流によって、医学に対するモチベーションが高まったのも事実です。

もそも私が医学を志したのは大学2年生の時。東大を受験した当時は、農学部に進もうと思い理科II類を受験しました。大学入学当初は何もかもが初めてで戸惑いを隠せないながらも、全ての新しいことに目を輝かせていました。東京という初めての土地、初めての1人暮らし、多様な生い立ちを持つ同級生、選びきれない程多様な講義、部活動…。これまで問題集をひたすら繰り返していたのとは一変、まさにbroadな視野に広がった瞬間でした。

でも、1、2年次の講義は、私の「学問」に対する考え方を変えてくれました。これまでの「答えを出す」ための勉強から、学問とは必ずしも答えのない、果てしないものなのだという認識を与えてくれました。既知の知識や原理を使って、未だ解明されていない新たな分野に足を踏み入れていく学問の世界。一生携わることになろう専門分野を選ぶにあたって、最も自分を捧げられる分野は何かと考えた時に、自分自身を含めた人間について知ることができ、「健康に生きる」という皆の本質的願望を果たすのに最も近い位置にある医学しかないと思ったのがきっかけでした。

では医学部に進学し、専門知識を学んでいます。特に医学部は暗記量が多いので、ひたすら分厚い教科書を覚える毎日。4年生になってからは臨床医学を学び始め、ますます医学を学んでいるという実感があります。医学部に限らず専門分野に入ると、受験勉強で培った英語力こそほぼ全ての分野で活用できるものの、その他の科目の知識はあまり使わないのが現状でもあります。しかし、科目ごとの知識にとどまらず、受験勉強を通して学んだ勉強に対する姿勢、自分の限界の力を知ったということは、今の私にとって大きな糧となっていると思うのです。

が受験勉強を本格的に始めたのは高1の秋。学校ではほとんど受験勉強をしていなかった私にとって、Sクラスの周りの仲間は大きな刺激となっていました。当時まさか自分が東大を目指すことになろうとは夢にも思っていませんでしたが、負けず嫌いなこともあって周りの仲間に負けたくない、とにかくついていこうと思って必死でした。初めて受けた高1秋の模試の結果を見て、ひょっとすると東大を目指せるのかもしれない、と思ってからは、せっかく学問の道を選んだからには最高の学問を学びたいと思うようになり、受験勉強を始めたのでした。

験勉強をしていた頃の事を今振り返ってみると、当時こそ必死だったものの、一際輝いていた頃であったと感じます。学校から帰ってきてからも、研伸館が閉まるまで自習室にこもって勉強する毎日。私は、「出会った問題は全て完璧にする」ことをスタンスとしていたので、同じ問題集を3回繰り返したり、研伸館の問題は何度やったかわからないくらい繰り返したりと、とにかく「繰り返し」の連続でした。目新しいことはあまりなく、あまりの単調作業に嫌気がさした事もありましたが、東大合格という目標を胸に、こんな時こそ勉強するチャンスだと言い聞かせて格闘していました。目標に向かって自分を奮い立たせて努力していた当時の自分自身。これ以上無理だと自信を持って言えるくらいに勉強したことは、合格できなかったとしても誇りにできたと確心しています。

験勉強によって、物事に取り組む姿勢と、努力すれば大きなことも成し遂げられるという自信を得ることができました。限られた時間の中で、いかに効率よく実力を伸ばすか。それにはやはり、「戦略」が必要でした。先輩の「強者の戦略」や研伸館の先生、家族のヒントを元に自分にあった方法を模索して得た私の戦略は、先述したとおり、「出会った問題は全て完璧にする」ことでした。その他にも、勉強したことを全て記録する「勉強したことノート」を作る、1時間に5分は必ず休憩時間を取る、自学ではどの科目も一冊の「家用ノート」に書く、自分流に勉強計画を作る…など、自分流の「戦略」をいくつも作りだしました。「家用ノート」は、高1秋から最後までで300冊以上にも及びました。こうした努力によって、最初は夢にも届かないと思っていた目標を成し遂げられたという自信は、医学を志す今の私にも大きな力を与えてくれています。また、自ら計画をして勉強していくという力は、今も、今後社会に出てからも、すべきことに対する私の取り組み方に役に立っていくに違いありません。

人にとって自分にあったやり方というのは千差万別。そのやり方を見出すには、この「強者の戦略」や先生、家族のヒントを参考にしながら試行錯誤していくのが一番です。受験勉強で身に付けた各科目の知識というのは、大学入学後も必ず何らかの形で役に立つのは言うまでもありません。英語の知識はどの分野でも不可欠になってきますし、数学的な論理的思考法というのも意外な所で役に立つものです。理系で言えば、物理や化学、生物の基礎知識を知っているということは、科学を学ぶ上での大前提となります。しかし、受験で培った、自分なりの時間の使い方、物事に対する姿勢、取り組み方などといったより抽象的な部分こそ、今後のあなたの生き方を支える糧となると私は思います。例えば社会に出た時に、自分の容量を超えた仕事を引き受けてしまった場合、こなせなければ仕事のできない人とみなされてしまう。それよりは、自分の限界を見据えた上で仕事を取捨選択した方が、有能な人材と見られるでしょう。受験勉強で自分がどれだけ頑張れるかをちゃんと知っている人なら、それができるはずです。

に勉強が辛いと思う時が来るかもしれません。意味がないと思うかもしれません。しかし、今勉強していることは将来必ずあなたのかけがえのない財産となるはずです。この「強者の戦略」を参考にしながらあなたの道を切り開き、無事に大学受験を乗り越えられることを祈念しています。