強者から受験生へ「夏のアドバイス」

M.A.さん

出身高校
灘高校
進学大学
京都大学理学部理学科

とにかく生活リズムを乱さないように注意すること。起きる時間と寝る時間は一定にしましょう。高2の夏を思い出してみてください。はい。ああなったら終わりです。

それから、1日中部屋で勉強していると本当に気が滅入ってきますし、やる気がどうしても段々となくなっていきます。適度に息抜きをする分には、ばちは当たらないと思います。せっかくの高校生活最後の夏なのですから、時々は外に出かけるかしていろいろなことを楽しんだ方が有意義でしょう。よっぽど勉強が危機的状況にあるなら別ですがそうでないのなら、がむしゃらに勉強するよりもむしろ休憩を挟んで気分転換を図った方が効率的に学習も進むと思います。

夏期講習の時間割

  スタートターム(7/19~21) Aターム(7/23~28) Bターム(7/30~8/4)
1限      
2限   【住】高3東大京大特選理系数学演習・夏・(吉田 信夫) 【住】高3化学特別選抜・夏・(市道 弘樹)
3限     【住】高3英語特別選抜・夏・(今村 朗)
4限      
5限      
6限      
7限      
  Cターム(8/6~11) Dターム(8/13~18) Eターム(8/20~25) EXターム(8/27~31)
1限        
2限        
3限     【住】高3物理特別選抜・夏・(中野 隆司)  
4限        
5限       【住】高3スーパー化学特講[有機化学](市道 弘樹)
6限        
7限        
スタートタームの勉強法

研伸館の授業はありませんでしたが、学校はまだ夏休みに入っていなかったので(終業式が20日)、夏休みの勉強を本腰入れて始めてはいませんでした。それよりも、夏休みにどのような教材を使ってどれくらいの速さで進めようかということを考えていたように思います。

『難系統の系統とその解き方』(ニュートンプレス)を学校で購入したのも確か、終業式直前のこの時期だったと思います。学習は、登下校中やまた帰宅後に『ぼん単』や学校から配布された古文単語帳、漢文句法帳、あるいは日本史の知識(人物名や出来事の名前、因果関係など)を確認するといった普段の勉強の延長程度でした。

Aタームの勉強法

「数学特別選抜」の教室授業を受けるタームでした。演習形式の授業でしたので、予習は行うことがなく、復習は帰りの電車の中で問題の解説を読み返し、丹念に式変形を追うなどして授業中に理解できていなかったことの穴埋めをしていました。

また、7月23日から27日に午前中、高校の方で夏期講習(特別授業)の理科(物理と化学)と社会(日本史)があり、物理は問題演習と解説、化学は普段の授業であまり実施できない、実験、及び酸化還元反応の演習を、日本史は例えば、近代の経済などのテーマ史を扱っていました。特別授業後、研伸館に向かい、昼食を最上階の食事スペースで取った後、「数学特別選抜」を受講するという流れでした。吉田先生には、授業時間をずらしていただくなど無理を聞いていただきました。ありがとうございました。

さて、このタームからボチボチ本格的な学習を始めていきました。このタームに限らないですが、『難系統の傾向とその解き方物理』(1周目)を用いて物理の学習を、『化学の新演習』(2周目)を用いて化学の学習を行いました。『難系』は1周目ということもあり(演習問題を飛ばして)例題のみを1日に4~5題のペースで、『新演習』は2周目なので(1周目は夏休み前に済ませた)1周目よりも1日にこなす問題数を増やし、おおよそ1日に半章分ほど進めたと思います(あまり覚えていません)。最終的に、夏休み中に『難系』と『新演習』は1周ずつこなしたと記憶しています。

また、やはり移動時間で英語の単語(『ぼん単』)や文法(『スクランブル』)、古文単語(『見て覚える 読んで解ける 古文単語330』)、漢文句法(『漢文必携』)を勉強しました。日本史については、高校の先生から勧められた、夏休み中に学校で使っている教科書を一通り読むことを実践しようと、毎日寝る前に時間を決めて読むようにしていました(曰く、「受験生ならセンター前に教科書を2周か3周か読むのは当たり前」だそうです。確かに、特に理系は知識がすべてなのでその通りかもしれません)。その他については、『強者の戦略』原稿にも書きましたが、学校から借りてきた『Brief History of Time』を少し気分転換したい隙間時間に読んでいました。

Bタームの勉強法

「化学特別選抜」と「英語特別選抜」の教室授業を受けるタームでした。英語は予習が必要だったので、前日の夜に長文問題と英作文の解答を作成しましたが、授業が連日だったのでやはり前日の夜には終わらないことも多く、そんな時は次の日の朝(その授業がある日)に授業時間よりも30分程度早く来て解答作成の続きを行っていました。予習には1時間から1時間半ほどかけていたと思います(長文に50分、英作文に40分ほどでしたでしょうか。もっと時間がかかっていたかもしれないです)。

帰宅中や自宅で、扱った英文を読み直し、自分では気づけず授業中に今村先生からご教授いただいた読解上のポイントやコロケーションなどの様々な知識を確認しました。化学はテキストが配られていましたが、予習としては問題にざっと目を通すだけで実際に解いたりなどはしていませんでした。授業では集中的に有機化学を扱っていました。通常授業と同様に、市道先生から頂く追加課題にはとてもお世話になりました。

5日に河合の京大オープンを受験することになっていましたが、それに向けての勉強をそれほどした覚えはなく、試験後もやはりというべきかあまり手ごたえが感じられませんでした。

Cタームの勉強法

このタームは何も夏期講習を取っていませんでした。学校の特別授業もなかったので、1日中家にこもって勉強していたと思います。研伸館でいただいた『東大京大阪大理系への超精選問題シリーズ』というテキストの、授業で扱わなかった範囲と、現代文の対策として『上級現代文I』を解いていました(『強者の戦略』に書いたことと被りますが)。

『超精選』では、分からない問題はすぐに解答を見ていました。1日に多くて3問ほど進めていたと思います。また数学は学校からの課題で数IIIを復習していました(『スタンダード・オリジナル数III』だと思いますが、記憶が曖昧です)。古文は、確かこれも学校からの長期休暇課題だったと思いますが、『完成古文』(尚文出版)というテキストを進めていました。

Dタームの勉強法

特筆すべきことはありません。研伸館の夏期講習も学校の特別授業もなかったので、『超精選』『難系』『新演習』や『完成古文』等々、Cタームと同じように進めていました。

8月19日に京大実戦模試があったので、京大オープンの時の反省を生かして今度は対策して臨みましたが、のちに帰ってきた成績表からすると、悪いと思っていた京大オープンがかなり良く、一方で対策して臨んだはずの京大実戦はあまりよくありませんでした。僕の成績はどうでもいいのですが、受験生にはいわゆる冠模試にはしっかりと対策して臨むべきだと言いたいです。その時の成績によって秋以降の学習計画が変わってくる面もあるからです。

Eタームの勉強法

「物理特別選抜」の教室授業を受けるタームでした。演習形式の授業でしたので、予習はしませんでした。僕は通常授業の物理を取っていなかったのでそちらと比べることはできないのですが、扱った問題はどれも難易度が高く分からない問題があったのが悔しかったので、その日のうちに、頂いた解説プリントを利用して復習したのを覚えています。授業内容は主に電磁気を、根本的な原理から教えて頂きました。自分ではなかなか手が及ばなかっただろうところなので、本当に助けられました。

また、高校でも国語、数学の特別授業がありました。国語はセンターの過去問(主に現代文)を、数学は演習を行っていました。英語も国語、数学と同日程であったのですがリスニングを扱うとのことで、京大英語にはリスニング試験が課されないのでセンターなら自力で対策できると高をくくって受講しませんでした。その代わり、NHKラジオで放送されている「ラジオ英会話」の夜の放送分を、毎日ではないのですが、その日の課題が終わって時間がある日は聴いていました。

EXタームの勉強法

「スーパー化学特講<有機化学>」の教室授業を受けるタームでした。「化学特別選抜」と同様、この講義もテキストが事前に配られていたのですが、予習は問題に目を通す程度で、どちらかというと復習に力を入れていました。有機の構造決定問題を集中的に学習しました。問題文を読む際どこに注目すべきか、どこに手がかりがあるかといったことを教えて頂きました。「化学特別選抜」と合わせて多くの構造決定問題をこなし、夏休みで有機化学分野はかなり実力がついたと思います。

夏休みを通して進めてきた『難系』と『新演習』が、それまでの取り組みでは1周分最後まで辿り着きそうになかったのでペースを上げて、新学期が始まるまでには何とか終わらせました。また、9月初回に今村先生の授業でクラス分け(特別選抜に残れるかどうか)のテストがあると知らされていたので、その対策としてそれまでの通常授業と夏期講習で扱った長文、英作文の見直しや『ぼん単』と英熟語のブラッシュアップを行いました。

夏休みに学習した各科目の時間の割合

高3夏期取得した講座の中でイチオシの講座!

高3東大京大特選理系数学演習・夏・(吉田 信夫)

まだそれほど受験を意識しすぎることなく、どちらかというとゆったりとした雰囲気の中、一講義で手ごたえのある問題を3問ほど扱っていました。問題のどこにまず目をつけて一つずつ答えへの手がかりを手に入れていくかということを学ぶことができました。吉田先生の、生徒と一緒に難しい問題の解法を一歩一歩考えていこうとなさる姿勢が大変印象的でした。

夏休みを迎える受験生へのアドバイス!

とにかく生活リズムを乱さないように注意すること。起きる時間と寝る時間は一定にしましょう。高2の夏を思い出してみてください。はい。ああなったら終わりです。

それから、1日中部屋で勉強していると本当に気が滅入ってきますし、やる気がどうしても段々となくなっていきます。適度に息抜きをする分には、ばちは当たらないと思います。せっかくの高校生生活最後の夏なのですから、時々は外に出かけるかしていろいろなことを楽しんだ方が有意義でしょう。よっぽど勉強が危機的状況にあるなら別ですがそうでないのなら、がむしゃらに勉強するよりもむしろ休憩を挟んで気分転換を図った方が効率的に学習も進むと思います。

ひと夏のおもひで

夏休みが終わって、この夏休みに何をしていただろうとふと考えた時、何も思いつくことがなかったのですが、無我夢中で勉強していたからだと思います。というのはもちろん嘘で、多分寝不足もあって夏休み中はずっとぼぉーっとしていました。そうは言いつつも振り返ってみると、受験に向けての基礎体力は(例えば英語の熟語はほぼ手付かずだったということはありますが)ある程度この時期についていたのだと思います。

夏休みの楽しい思い出は、中学生ぐらいから毎年参加している糺の森の「夏の納涼大古本市」(8月11日)です。これは受験勉強の真っただ中にあっていいリフレッシュになりました。

高2の夏にやっておくべき事

苦手教科を完全につぶす、までいかなくてもしっかりと把握しておく、といったところでしょうか。センター試験の模試を受験するのも一つの手かもしれません。少なくとも、同世代の集団内での自分の位置が分かると思います。

高1の夏にやっておくべき事

学校の宿題を期限までに提出すること。日々の学習の習慣をつけることは大事です。一朝一夕に身につけられるものではありません(自戒を込めて)。

クラブとの両立方法

早い時期にクラブの引退があったので、クラブと受験勉強を両立していたとは言えないでしょう。むしろ、クラブ活動に取り組んでいた頃は、その日にあった学校の授業の復習程度しかしていませんでしたし、それすらもともすれば面倒くささからやっていない日がありました。