京都大学 文部 2008年現役合格

Y.N.さん

Y.N.さん

出身高校
私立三田学園高校
進学大学
京都大学 文学部

Q1. 大学の講義について教えてください。

大学の時間割
―――
1限 ――― 中国哲学史特殊講義
(中国の古典文献の
構造と目録)
―――
2限 中国語学・
中国文学特殊講義
(中国語の表記と音韻)
――― ―――
3限 中国哲学史演習
(魏晋南北朝時代の
思想)
中国哲学史演習
(朱子の思想)
文学部英語
(仏陀の生涯)
4限 英語 ――― 中国哲学史演習
(清代の知識人たち
による論説文)
5限 中国哲学史講読
(孟子の思想)
中国哲学史演習
(宋代末期の考証学)
中国古代の暦
―――
1限 ――― 中国語
(魯迅の短編小説)
―――
2限 英語
(シェークスピアの
ジュリアス・シーザー)
国文学講義 ―――
3限 ――― 東洋史学演習
(清代の学者による
歴史分析)
―――
4限 中国語 中国哲学史特殊講義
(漢代の「礼」の学問)
―――
5限 ――― ――― ―――

月曜日の過ごし方:授業がいっぱいあって、夜は部活です。部活の後は友達と下宿で遊んでます。

火曜日の過ごし方:昼間勉強して、夜は5限の先生に研究室のみんなと一緒に飲みに連れて行ってもらってます(笑)。

水曜日の過ごし方:午前中ずっと使えるので研究室で勉強して、夜はバイトをすることが多いです。

木曜日の過ごし方:授業が少なくて楽なのでたまに古本屋を回ったりします。夜は部活です。

金曜日の過ごし方:朝からずっと授業で、授業が終わったらすぐバイトです。

講座PickUp!

中国語学・中国文学特殊講義(月曜2限)   担当: 平田昌司先生

中国語の表記や音韻に関する勉強をしています。平田先生は主に中国語学の研究で中国でも有名な学者で、学生時代、本を積みすぎて下宿の床が抜けたとか一回生の頃から院生のゼミに出ていたとか様々な伝説の持ち主です。

高校で漢詩の押韻を習ったりすると思いますが、中国語は古代から現在に至るまで発音をものすごく重視する言語なので、古典の研究にも音韻学の知識が必須になります。そのため、現在の中国語の発音表記(ピンインといいます)が誕生した歴史的経緯、古代の文献では漢字の発音をどうやって表していたのか、といったことをやっています。かなり内容は難しいですが、ためになります。

中国哲学史演習(火曜3限)   担当: 木下鉄矢先生

四書五経のうちの四書の一つである『大学』を、南宋の大儒学者・朱子が書いた注釈と合わせて読んでいます。日本人は漢字を知っているため、漢文を読むとつい漢字がもつ日本語としてのニュアンスを前提に解釈してしまって、わかったようなわからないような、というあやふやな状態になりがちです。先生は主に漢の時代の訓詁学の成果を利用して一文字一文字の漢字がもつ根源となるニュアンスを考え(たとえば、「明」という字は日と月に思えるが、左の部分は窓だから、光そのものよりも窓を通じて月明かりを取り込むというニュアンスが根底にある、など)、宋代の中国人である朱子という人間はどう物事を考えたのか、ということを教えてくれます。漢文を読んでまぁだいたいわかる、という状態から一歩上を目指す授業です。

中国哲学史演習(火曜5限)   担当: 宇佐美文理先生

清代の学問は実証を重んじて空論を否定する考証学である、ということは高校世界史でも説明されていますが、実は清が生まれる400年近く前、南宋の時代に考証学の先駆者となる王応麟という学者が活躍していました。彼が書いた『困学紀聞』という考証の書物を精読しています。大学の漢文精読と高校の漢文の授業との最大の違いは自分で出典を調べないといけないことです。何気ない単語の一つ一つについて、その言葉が初めて登場したのはいつの時代のなんという書物か、また、その言葉はどんな儒教的知識を意識して使われているか、といったことを毎週自分で調べていかないといけないのでものすごい時間がかかってしんどいですが、この授業でがんばっていると漢文を読む能力がどんどん伸びているのが実感できて楽しいです。

Q2. 思い出の単位について

試験勉強がどうとかいう問題以前に単位というのはテストに出ないともらえないものです。なのでわりと一生懸命勉強してもテストが1限とか2限だと寝過ごして単位を落とすことがわりと……(泣)

Q3. 身の周りにいるすごい人物を教えてください。

高校時代バドミントンでインターハイに出た後輩、ゲーマーで日本のRPGを何本も、かつ何周もやりこんでいる研究室の同期の中国人留学生。

Q4. 学食の好きなメニュー上位3つ

1位:『あんみつ』

2位:『ささみチーズフライ』

3位:『巣篭もり卵』

Q5. 今の大学に入って一番良かったと感じることは何ですか?

研究環境がすごく充実していることです。僕が専攻している分野(中国哲学史)では漢文で書かれた文献を大量に扱わないといけないのですが、京大の蔵書のレベルは世界的に見ても最高水準にあり、図書館ではなんと明代に出版された書物でも自由に手にとって読むことができます(学生にこんなことを許すのは日本では京大だけだそうです)。あと、「自由の学風」とよく言われますが、京大はよその大学に比べて単位をとるのが楽なので自分の勉強に打ち込めます。加えて何より大きいのは、やはり教員や周りの先輩方に非常に優秀な人が多く、常に良い刺激を受け切磋琢磨できる環境にあることだと思います。

Q6. これからあなたの歩んでいく道はどのようなものになっていきそうですか?また、周りの友達の進路はどういった方面が多いですか?

今は大学院への進学を考えています。博士過程まで進んで、最終的には大学に残って研究者になりたいです。友人は、理系の人はだいたい大学院に行くようですが文系は就職するのが大半だと思います。業種はいろいろで、文学部の先輩だと官公庁とか新聞社とかお酢のメーカーとか本当にバラバラです。

Q7. 大学生活で打ち込んでいることを教えてください。

体育会でバドミントンをやっています。大学の部活は高校と違って顧問がいないので、練習も遠征も全部自分たちで考えてやらないといけなくて大変なのですが、その分、人にやらされるんじゃなくて自分でやってるんだ、というのがあって上達のスピードも全然違います。それに、一緒に部活を創っていく仲間たちとの連帯感が強いのも大学の部活の魅力的なところだと思います。

Q8. 自分の大学を目指している高校生へのメッセージをお願いします。

京大に入ったら自分はこうするんだ、というビジョンをもっていたら辛い受験勉強も乗り切れると思います。実際に入るとものすごく強く感じることですが、京大は単に世間で「いい大学」と言われているだけのようなところじゃなくて、環境についても周りの人々についてもきわめて独特なものをもっています。どれだけ苦労しても入る価値のあるところなので、最後までがんばってください。