東京大学 文科I類 2010年現役合格

R.N.さん

R.N.さん

出身高校
灘高校
進学大学
東京大学 文科I類

Q1. 大学の講義について教えてください。

  <2年次の時間割>

大学の時間割
―――
1限 ――― ――― ―――
2限 ――― ――― 刑法第一部
3限 ――― ――― ヨーロッパ政治史
4限 ――― ――― 国際法第一部
5限 ――― ――― 国際政治
6限 ――― ――― ―――
―――
1限 ――― 国際法第一部 ―――
2限 民法第一部 ヨーロッパ政治史 ―――
3限 科学哲学概論
(後期教養)
憲法第一部 ―――
4限 基礎教育学概論
(教育)
――― ―――
5限 地域政策
(後期教養)
国際政治 ―――
6限 ――― ――― ―――

月曜日の過ごし方:バイト(小学校の放課後校庭開放の補助)

火曜日の過ごし方:バイト(塾のスタッフ、土日にシフトに入ることも多いです。)

水曜日の過ごし方:授業

木曜日の過ごし方:授業+サークル

金曜日の過ごし方:授業

講座PickUp!

民法     担当: 森田 宏樹先生

まずは、自分の進学する法学部の授業についてです。

なかなか難しいですし、楽しく思うのでさえかなりの時間を要するのですが、理解が進むにつれ楽しくなってきますよ。先輩の中には「六法が恋人。最近参照したい条文がすぐ出てくるようになった。かわいい。」とか言っている人もいますしね(笑)。決してそうはなりたくないものです。

今度法学部での初めての試験があるのですが、戦々恐々。受験期と違って明確な答えの無い勉強に取り組むことに未だ慣れておらず、日々苦難の連続です。

ヨーロッパ政治史   担当: 馬場 康雄先生

同じく法学部の授業ですが、こちらは政治に関する授業です。正直やっぱり歴史の授業の方が気楽に聞けますよね。刑法とかだと、殺人って連呼されて気が滅入ります(殺人、殺人未遂、殺人予備、過失致死、業務上過失致死、同意殺人…みたいな)。

ただ、受験で日本史・地理を選択したので講義についていくので必死です。この前ついに実家から世界史の教科書と図説を持って帰ってきました。新しい知識を身につける楽しさと苦労を再び体験しています。カタカナってほんと覚えられないですね。

地域政策   担当: 山口 祥義先生

現役官僚の方が受け持っている講義で、今の行政のあり方についてかなり新鮮なお話を伺うことが出来ます。やはりプロパーの法学・政治学ばかりやっていては飽きてしまいますから、このような授業もカンフル剤としてたまには良いですよね。学問的に見て『ある程度』最高峰というだけでなく、実務の点から見ても色々な情報にアクセスしやすいというのは、東大の長所と言えると思います。 因みに、東京大学では進学する学部が決まった後でも他学部の授業を受講し卒業単位に加算することが出来、この授業は後期教養学部の授業です。

社会環境論   担当: 松原 宏先生

みなさんご存知かとは思いますが、この大学では1・2年次の間は前期教養学部所属として過ごし、自分の興味に応じて様々な授業を受けながら、進学振り分け(進振り=進学先の学部を決める手続き)に備えることになります。ということで、ここで最後に前期課程の授業を挙げておきます。

この授業は高校地理の延長のような科目です。産業立地にあらわれる日本の産業構造の変化を扱うのですが、この授業で得た視覚を利用して実際のニュースを分析できた時などは、とても楽しかったですね。

Q2. 思い出の単位について

思い出の単位と言えば、大正の文献を提示しそれについて延々論じたレポートを出して優をもらったことがあります。大学では高校より柔軟に自分の努力を評価してもらえるのだとわかった瞬間でした。その他には、延々授業した挙げ句最後の授業で課題図書を一冊示して「意見を述べよ」というだけの試験もありましたね。自由裁量が認められる分難しく、解答にありのまま自分の浅薄さが映し出されているだろうと思うと非常に気味悪かったですね。

そんなことより何より、苦労したのは中国語の試験です。語学は出来なかったですね。あまりに勉強しなかったのが悪いのですが、大事なのはやっぱり「語学は毎日触れる」ということです。確かに一夜漬けで出来る科目もたくさんありますが、大学生活はそんなに甘くないです!多分。

Q3. 身の周りにいるすごい人物を教えてください。

学生団体立ち上げとかをしている友人はすごいと思いますね。あと皆さんが普段あまり接することの無いタイプで挙げるならば、司法試験予備試験に法科大学院在籍中に受かった先輩がいらっしゃって、お話していても非常に知的で尊敬しています。予備試験っていうのは、なんていうか、全国100人くらいしか受からない超難関試験みたいなやつなんですけど、それに御本人曰くほとんど対策もせず受かってしまったそう。とは言え実際には当然かなりの勉強家ということで、憧れますね。

Q4. 学食の好きなメニュー上位3つ

1位:『うどん・そば』

2位:『中華丼』

3位:『野菜炒め』

学食はとても混雑しているので基本はコンビ二です。行くとしても、いつも一番早くスムーズに買えそうなものを買います。野菜炒めはオークスという名前で売られていますが、自分で野菜をチョイスして盛り合わせることが出来かつその場で炒めてもらえるということもあって、一人暮らしの学生はよく頼んでいますね。

Q5. 今の大学に入って一番良かったと感じることは何ですか?

その気になれば、あるいは縁に恵まれれば、尊敬に値する人にすぐに出会える点が一番良いと思います。勉強についても、週に一二回友人と一緒にする機会に恵まれる等刺激し合っています。

Q6. これからあなたの歩んでいく道はどのようなものになっていきそうですか?また、周りの友達の進路はどういった方面が多いですか?

自分のこれからの努力や適性・縁によって変わってくるかと思いますが、現在は国家公務員を志望しています。公務員叩きは止まないですし、給与も削減されそうですが(笑)。しかし、現在日本の逆境は益々深刻ですし、だからこそ一層社会に役立つべく努力したいですね。そんな歯の浮く台詞はさておき、個人的には、やはり中高大と取り組んできたようなこと(福祉や教育関連のボランティア)に何らかの形でこれからも携わっていきたいという思いが強いです。

法学部ですから、周りは弁護士志望が多いですね。灘から法学部に進学した人だと、将来について真剣に考えている人程その傾向が強い気がします。何故かはわかりませんが、不況も多少は関係あるんでしょうか。次いで国家公務員。皮膚感覚としては、かなりの物好き扱いを受けます。現段階から一般企業を志望する人はかなり稀。意欲のある人だと、国際公務員などを志望する人も多いみたいです。

また、文科一類に入学した後他学部に進学する人も昔に比べてかなり多く(知り合いだと、後期教養学部・文学部)、そのような人は大概が研究者になりたいと言っています。

Q7. 大学生活で打ち込んでいることを教えてください。

最近は腰を据えて勉強をしているところです。とやかく不満言うくせに、受験生の頃のように一日十数時間も机に向かっているとそれだけで一定の充実感を得られる、というのは東大生の悲しい性ですね。ダブルスクールをし、国家公務員試験の勉強をしています。

ただ、それは自分の目標をしっかり定めたからこそできることです。昨年の夏に子ども60人と大人の参加するサマーキャンプを責任者として主催したことはいい思い出ですし、それをきっかけに教育や福祉にこれからも携わりたいという思いを新たにしました。サークルで奥多摩の山中のキャンプ場を貸し切って行ったのですが、震災後で安全面への留意等も例年以上に必要でしたし、単純に楽しいだけでなくてやりがいのある組織運営となりました。

あと、大学生活と言えばバイトですよね。一ヶ月25日とかいうハイペースで働いていた時期もありますが、収入以上に社会での責任の重さを知りました。あまり無理をすると体を壊しますから、そのような自己管理を含めて「引き受けたことはしっかりこなす」という当然のルールの難しさを体験したことは、結果として大きな糧となっています。

Q8. 自分の大学を目指している高校生へのメッセージをお願いします。

他の大学のことを知らないので何とも言えないのですが、東大生が多方面に関して恵まれた環境にあるのは間違いないかと思います。ただそれ故、何をすればいいかわからなくなってしまうことが多いのも事実。進振りがあり、モラトリアムがあるからというだけで大学に行って失敗した人も相当数います。自分もその一人で、バイトもサークルも勉学も、さぼった訳ではないし一生懸命取り組んだのだけれど…何か違う!という感覚を拭えないでいます。「東大を目指すべきか」ということについて、電車内等短い時間でかまわないのでもう一度熟考してみることをおすすめします。如何に深くこの問いに向き合ったかで、大学生活が、東大という恵まれた環境をどの程度いかせるかということが、少なからず変わってくるのではないでしょうか。

大学に入ってしばらくすると、理系にせよ文系にせよ答えの無い問題にどうアプローチするかが問われるようになってきます。自分も暗中模索の途上ですが、高校生のみなさんもこのことを念頭に、なるたけ「自分の頭で考え抜くこと」ことを大事にしたらいいんじゃないかな、と思います。そういう姿勢は、きっと東大合格への一助にもなるはずと信じて、筆を擱きます。皆さん頑張ってください!東京でお待ちしています。