東北大学 医学部医学科 2010年現役合格

T.H.さん

T.H.さん

出身高校
東大寺学園高校
進学大学
東北大学 医学部医学科

Q1. 大学の講義について教えてください。

<2年次の時間割>
  上の段に書いているのが2年次9月から12月の時間割。
  下の段が1月中の時間割です。
  1、2限が午前で3、4限が午後(~16:30)です。

大学の時間割
―――
1限 肉眼解剖 門戸開放 英語
病理学 ――― ―――
2限 肉眼解剖 門戸開放 ―――
病理学 ―――
3限 肉眼解剖 ASC-WTQ 肉眼解剖
脳解剖学 ――― 脳解剖学
4限 肉眼解剖 ASC-WTQ 肉眼解剖
脳解剖学 ――― 脳解剖学
5限 ――― ――― ―――
6限 ――― ――― ―――
―――
1限 免疫学 薬理学I ―――
生理学 放射線基礎
2限 免疫学 薬理学I ―――
生理学 放射線基礎
3限 肉眼解剖 門戸開放 ―――
病理学I ―――
4限 肉眼解剖 門戸開放 ―――
病理学I ―――
5限 ――― ――― ―――
6限 ――― ――― ―――

月曜日の過ごし方:寺子屋(研究室の勉強会)

火曜日の過ごし方:休日。友達と遊ぶか(カラオケとか麻雀とか)、実験、勉強

水曜日の過ごし方:授業後に友達と遊ぶか、実験、勉強。最近ではフットサル

木曜日の過ごし方:授業後に実験、勉強、卓球

金曜日の過ごし方:午前中だけ授業。時間が多く取れて、金、土、日に実験をすることが多い

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門戸開放

東北大学の掲げる理念の一つに門戸開放というものがあります。それは、東北大学にあり多くの研究室が、研究を志す者を拒まず、研究したいものを受け入れるという意味です。それは学生も例外ではなく、僕を含め、数名の学生は自らが興味のある研究室に訪れ、そこで勉強しています。とはいえ、多くの学生にとって研究室に行くのは敷居が高いので、学校側から研究室をリストアップして、学生の希望調査を取り、授業のない時間に見学できるようにしているというのがこの門戸開放です。この門戸開放を通じて、その研究室に通うようになる学生もいます。また、3年生の後期は全て基礎医学修練といって、学生が研究室に配属されます。そういった研究室の雰囲気を感じることのできる場でもあります。基本的には、授業がないので、希望しなければ休日となります。大体の人が興味のある所を1、2ヶ所行って、あとは休日みたいな感じですね。

肉眼解剖     担当: 出澤真理先生

医学部の授業で多分真っ先に思い浮かぶのが肉眼解剖だと思います。ですが、解剖している期間自体は短く、二年生の夏休み明けから年末までの約3ヶ月です。ただ、この3ヶ月に思いっきり肉眼解剖が詰め込まれていて、月曜日にいたっては朝から晩まで全て解剖実習です。3ヶ月の間に120時間を超える時間が解剖のために使われていて、しかも、大体の場合時間内(16:30)に終わることはなく、遅ければ19:00とかまでかかってしまうときもあります。こうなると、解剖終わりは匂いも残っていて、あまり出かけることができず、風呂に入って終わりということになります。一度、夜中の10時頃に講義棟の前で友達に会って、どうしたのかと聞くと、今解剖が終わったって言われたこともあります。彼の場合は、解剖マニアで、先生に実習室から追い出されるまで、ご飯も食べずに解剖に明け暮れていたそうなのですが・・・。

Q2. 思い出の単位について

薬理学Iの試験が思い出に残っています。この試験は本当に辛かったです。まず、分量が多いことを第一に、プリントが基本全て英語で書かれているので、その解読から始まりました。そして、最大の辛さが試験の日程でした。試験の日が1月5日で、年末年始が全て試験勉強でつぶれるという悲しい現実。テレビ画面の向こう側でカウントダウンしているときでさえも、薬の名前をブツブツつぶやいていました。高校3年の時の受験勉強よりも頑張った気がします。そして、試験結果発表をみたとき、合格で、本当に嬉しかったです。ただ、120人中40人くらいが「落とし玉」をもらっていました。

Q3. 身の周りにいるすごい人物を教えてください。

ウイスキーが好きな友達同士でウイスキー飲みをしようということになって、友達の家に遊びに行ったことがあります。その家は間接照明しかない、とてもお洒落な家でウイスキーをおいしくごちそうになったのですが、突然その友達がピアノでジャズを弾きはじめて、僕たちがそのうまさに驚いていると、友達が言った台詞が「ジャズなんて簡単だよ。右手で旋律を奏でて、左手は遊ばせとけばいいんだから。」でした。完全に彼とは見えている世界が違うなと思いましたが、今でも仲良くしています。

Q4. 今の大学に入って一番良かったと感じることは何ですか?

東北大学に入り、高校生の頃からやりたかった基礎研究を大学一年生からできていることが一番よかったと思います。今やっているのは、あまり研究されていないタンパク質を調べ、基本的な遺伝子組み換え実験の手技を身につけるということですが、とてもやりがいがあります。堅苦しく聞こえますが、実際はそうでもなく、実験の合間の時間が2時間とかよくあくので、その合間に勉強を終わらせ、あとは友達と遊んだりもしています。飲み会、カラオケ、麻雀なんかもよくやります。真面目な部分、楽しむ部分、色々ありますが、大変充実していると思っています。

Q5. これからあなたの歩んでいく道はどのようなものになっていきそうですか?また、周りの友達の進路はどういった方面が多いですか?

まだ二年生の段階では、将来の進路を決めている人は少ないです。でも、ほとんどの人が漠然とですが、普通に患者さんを診る臨床医になりたいと考えているようです。ですが、僕の場合は基礎医学に興味があり、基礎研究もやっていこうと考えています。将来、どのようにしてその考えを形にするかはまだ分かりませんが、今の段階から実験は少しずつですが、失敗を繰り返しながらもはじめています。

Q6. 大学生活で打ち込んでいることを教えてください。

最も打ち込んでいるのはやはり、基礎の実験です。そのために、多くの時間を費やしています。おそらく医学部を目指している高校生も研究職のイメージをあまり持っていないと思いますが、国公立大学の医学部のほとんどが基礎医学に力を注いでいます。そんなに早く本格的な研究を始める必要があるのかと思うかもしれませんが、大学を卒業して、研修を終えてから始めるとなると30歳くらいから始めることになるのと比べて、今から始めると10年も先にスタートを切れるというメリットがあります。実験の作業自体はそれほど難しくなく、高校生でも知識さえあれば、簡単にできるものがほとんどです。だから、大学生になってから始めるというのは、早くもなんともないと思います。それに、東北大学の研究室の多くが、世界レベルで研究をしています。僕も、今やっていることは、知的好奇心をくすぐるのに加えて世界と戦うための武器になると思っています。みなさんも世界を意識するくらいの野心を持ってもいいのではないかと思います。意外と世界は近いところにあるかもしれませんよ?

Q7. 自分の大学を目指している高校生へのメッセージをお願いします。

大学は、自分のやりたいことをできる場だと思います。趣味、旅行、恋愛、サークル、バイト、勉強など自分のやりたいことを好きなだけできると思います。だから、どの大学を受験するのかも、その大学でどれほど自分のやりたいことを実現できるかを考えて選んでもらいたいです。僕の場合は、東北大学ならば自分のやりたい基礎研究ができると思って入学しました。みなさんも自分のやりたいことのイメージを膨らまして、楽しみにしていてください。受験勉強は大変だと思いますが、その先にはきっと楽しいキャンパスライフが待っていると思います。