東京大学 理科 I 類 2010年現役合格

T.I.さん

T.I.さん

出身高校
灘高校
進学大学
東京大学 理科 I 類

Q1. 大学の講義について教えてください。

  <3年次の時間割>

大学の時間割
―――
1限 材料の力学 ――― 国際プロジェクトの
ケーススタディ
2限 技術移転と開発 海岸工学 交通学
3限 情報システム設計 開発とインフラ ―――
4限 景観学 基礎プロジェクト
II~IV
基礎プロジェクト
II~IV
5限 基礎プロジェクトI 基礎プロジェクト
II~IV
基礎プロジェクト
II~IV
6限 ――― ――― ―――
―――
1限 ――― 水理学 ―――
2限 マネジメント原論 地球環境学 ―――
3限 少人数セミナー I ――― ―――
4限 ――― 都市学 ―――
5限 ――― 空間情報学I ―――
6限 ――― ――― ―――

月曜日の過ごし方:授業

火曜日の過ごし方:授業

水曜日の過ごし方:授業→バイト

木曜日の過ごし方:授業→サークル

金曜日の過ごし方:授業→サークル

講座PickUp!

社会基盤学序論

交通ネットワーク、貧困国への国際援助、河川や海岸の環境問題、都市景観、国土開発の歴史、八ツ場ダムの住民合意問題、東日本大震災の復興政策。これら全てのことが社会基盤学科で扱う対象の範囲内です。この授業では、担当教員の専門分野についての講義がオムニバス形式で行われ、社会基盤学科ではどのようなことを学ぶのかということについて俯瞰します。一見つながりのなさそうな上記のキーワードが実はつながっているということが分かってきます。学科の名前にも「社会」が入っている通り、工学部にしては文系的な内容もかなり学んでいます(地形図を読む授業や、経済学の講義もあります)。

講義だけでなく、班を作ってグループ発表も行います。私の班では、東京―大阪間のリニア建設による経済効果と社会に与える影響について調べて発表しました。また、宮城県田老町の住民の高台移転政策を題材にしてディベートも行いました。タイムリーな問題が多く取り扱われていたので、とても興味深い授業でした。

導入プロジェクト     担当: 中井・福井・尾崎先生

授業の内容を一言で言うとすれば、モノを作る授業です。この授業と並行して、「構造の力学」という授業で、橋などの構造物にはどのような力が働くのか、ということについて学ぶのですが、そこで得た知識も使いつつ、実際にモノを設計していきます。

課題のうちの1つで、紙とボンドだけで1人1個橋を作って何kgまでの荷重に耐えられるかを実験する、というものがありました。紙で作る橋なので、重さはせいぜい数十gといったところなのですが、丈夫な橋は10kg近くまで耐えていました。ちなみに自分の作った橋は4kg程で壊れてしまいました。

他にも、椅子を1人1個ずつ作ってきて、発表会で自分が作った椅子に自分で座って壊れないかを実験するという課題もありました。椅子なんて簡単に作れるじゃないかと思うかもしれませんが、使ってもいいものは、スチレン製のボードとタコ糸と紙と5mm厚程度の薄い木製の板、および接着剤のみ。よく考えて設計しないと、そもそも椅子の形にすることさえ簡単ではありません。作った結果はというと、半壊ぐらいには壊れたのですが、なんとかセーフ。しかし、後でもう1回乗ってみると、座る面がつぶれてしまい、結果的に完全に壊れてしまいました。

大学に入って図工のようなことをやるとは思いもよらなかったのですが、普通の講義とは違って自分で手を動かし、失敗することで学習できるという貴重な機会でした。

教育臨床心理学      担当: 前田先生

最後に駒場で受けた教養の授業を1つ紹介したいと思います。東大の教養課程では心理学の授業が豊富にあるのですが、この授業は人気もあって分かりやすくて面白かったです。摂食障害やうつ、虐待などに悩む青少年の心理を独特の福井なまりの口調で例え話を交えつつ分かりやすく解説してくれます。

中でも、窃盗がやめられない病気があるというのを知った時は驚きました。なんでも、幼いころの家庭環境が特殊であると子供の心理に影響を与えて、それが奇妙な行動の原因になるとのことです。文系理系に関わらず、一度は心理学の授業を取ってみるときっとためになると思います。

Q2. 思い出の単位について

教養学部での必修科目である電磁気学はつらかったです。中野先生の授業で大学仕様の公式表記を少し触れていたこともあったのでそこまで面食らわなかったですが、問題が難しかったので試験前はひたすら勉強してました。試験問題もとても難しくて半分くらいしかできなかったのですが、結果を見るとなんと優でした。試験が難しかった分、点数調整が行われるのでこういうことはよくあります。逆に試験が簡単すぎると1問間違えただけで良になるなんてこともありました。

あと、サイバー倫理についての授業を興味本位で取ったのですが、論述形式のテストで思うように文章を書くことができずに単位を落としてしまいました。ひたすら記述だけの試験には未だに慣れないです。

Q3. 身の周りにいるすごい人物を教えてください。

バイトを2つ、サークルを2つ掛け持ちして、リアル脱出ゲームの企画に携わり、さらに月に1回ほど読売ランドに行って園長誘拐事件の誘拐役をしている、という体がいくつあるのか分からないほど行動力のあるサークルの先輩がいます。絶対忙しいのに、何一つ疲れた顔をせずいつも笑顔を振りまいている姿は本当に尊敬の一言です。

Q4. 学食の好きなメニュー上位3つ

1位:『中華丼』

2位:『カレーライス』

3位:『坦々麺』

一品ものを頼むと安く食事を済ますことができるのでよく食べています。これだけだと不健康そうに思われるかもしれませんが、60円くらいで野菜の小鉢を足すとそれなりにまともにはなります(笑)。

Q5. 今の大学に入って一番良かったと感じることは何ですか?

よく考えた上で進学先を選べたことです。東大の進振りシステムでは2年生の夏ごろに志望届を提出するのですが、大学に入って1年強の間、新しいものに触れ、多様な授業を受け、色んな人とコミュニケーションを取ることで、高校生の時と比較すると、自分の進路というものに対してよりはっきりとしたイメージを持つことができました。

高校2年生と大学2年生ではものの見え方が大きく変わってくるので、高校生の時点で将来やりたいことがあまりはっきりしていなかった自分としては、東大に入学してよかったと感じています。そもそも、高校生の時は社会基盤学科の存在自体をちゃんと認識していませんでした。

社会基盤とか聞いたことがない、という人がほとんどかと思うので、簡単に説明したいと思います。一言で言うと、人間の生活の根底を支える社会基盤=インフラについて学ぶところです。都会にある橋、公園、鉄道などはもちろんのこと、ダムや防波堤も我々の生活を支えています。そして、それらを作る源は公共(土木)事業です。そのため、ハードそのものを作る技術だけでなく、自然環境について、公共事業の制度についてなど、幅広いことを学習できるのが特徴だと言えると思います。京大だと地球工学科、阪大だと地球総合工学科に相当します。

Q6. これからあなたの歩んでいく道はどのようなものになっていきそうですか?また、周りの友達の進路はどういった方面が多いですか?

工学部の人は8割ぐらいの人が大学院に進学します。おそらく自分も大学院に進学してから就職することになると思います。希望の研究室はまだ定まっていないのですが、防災か河川環境の研究室に行って、人間と自然の関わり方について学んでいきたいと今は考えています。就職先は官公庁からゼネコン、電力会社、鉄道会社、その他一般企業など多岐にわたるので、自分がどのような社会人になっているかは、今の段階ではまだ想像さえもできないといった感じです。

Q7. 大学生活で打ち込んでいることを教えてください。

サークルではアカペラをやっています。ハモネプとかゴスペラーズとかのあれです。軽音や吹奏楽等、楽器が必要なサークルでは経験者の割合が多いのですが、アカペラはほとんどが初心者なので、自分みたいに音楽経験が皆無でも気軽に始めることができます。

ハモネプに出るの?と聞かれることがよくあるんですが、正直そんなに目標にはしてないです。学園祭やサークルライブで歌うのが主で、あとはたまにライブハウスで歌うこともあります。

サークル活動は基本的にはバンド単位で、各バンドで大体週1回3時間ほど練習します。毎週メンバーみんなで同じ曲を歌い、同じ目標に向かってがんばることで、バンドメンバーとは絆がかなり深くなります。

Q8. 自分の大学を目指している高校生へのメッセージをお願いします。

東大というのはあまり進路のことを意識しなくても入試を受けることができますが、それでもやはり、高校生の時点で進振り先の学部・学科まで考えてほしいと思います。もし東大以外を受験するのであれば、どの大学のどの学部にするのか、ということも考えてみるといいかもしれません。

東大は、自由勝手に進路を選べる夢の場所というイメージをもし持っているとしたら、それは大きな誤解です。大学に入ってから適当に生活していると、点数が足りずに、自ずと進学できる学部が限られて本当に行きたいところに行けなくなってしまう、なんてこともあります。進振りという制度は、東大の長所でもあり短所でもあるので、本当に東大を受験するかどうかは、大学についてよく調べた上で考えましょう。ただ夢やあこがれだけで受験したり、「模試でいい判定が出たから」「友達が受験するから」といって受験したりするのではなく、漠然としたものでもいいので、将来に対する「自分なりのビジョン」を持っている方が、厳しい受験勉強もがんばれるし、大学に入ってからも大学生活を楽しむことができるのではないかと思っています。皆さんがんばってください!東京でお待ちしています。