一橋大学 商学部 2011年現役合格

D.N.さん

D.N.さん

出身高校
甲陽学院高校
進学大学
一橋大学 商学部

Q1. 大学の講義について教えてください。

  <2年次の時間割>

大学の時間割
―――
1限 ――― 経営戦略論 ―――
2限 ――― 流通システム ―――
3限 アラビア語初級 経営史 音楽論(東洋)
4限 ジェンダーから
世界を読む
前期ゼミナール
(契約理論・
インセンティブ設計)
短期海外研修
(オーストラリア)
5限 ――― ――― ―――
6限 ――― ――― ―――
―――
1限 都市計画学 経営戦略論 ―――
2限 景観学概論 流通システム ―――
3限 ――― 経営史 ―――
4限 ――― 現代若者論 ―――
5限 ――― 教養ゼミナール
(天体観測)
―――
6限 ――― ――― ―――

月曜日の過ごし方:飲食店バイト

火曜日の過ごし方:たまにゼミ仲間と遊びに行く

水曜日の過ごし方:飲食店バイト

木曜日の過ごし方:遊びに行く(買い物など)

金曜日の過ごし方:そのままゼミ仲間と晩ごはんを食べに行く

講座PickUp!

現代日本語論I・II   担当: 石黒先生

日本語について学問的に考える、いわば「日本人のための日本語の授業」(担当教員談)です。90分間延々と「、(読点)」の打ち方とその効果について語ったり、意図的な仮名と漢字の使い分けの意味(例えば、「ワレワレハウチュウジンダ」と表記したときのニュアンス)について話したりするなど、とてもマニアックな講義でした。また、教員はラジオ番組のパーソナリティのように、テーマに関して事前に募った学生の意見を紹介しつつ持論を展開していくので、読まれるかどうかわくわくしながら聞いていました。あまりに現代日本語論Iの講義にハマってしまったので、次の学期に現代日本語論IIも履修してしまいました(笑)。

経済・経営指標入門   担当: 永濱先生

景気を判断する様々な指標(GDPなど)の特徴と分析方法について、テレビに経済誌にと引っ張りだこ(先日もNHKに出演なさっていました!) の主席経済アナリストが解説するという珍しい講義です。指標の値が四半期や年ごとに変化している様子を、時事問題やご自身の経験に基づいてお話しされるので説得力がありました。講義で知った指標をニュースで見かける度に、自分の中で経済の見方が変わったと実感しています。

前期ゼミナール   担当: 伊藤秀史先生

2回生で所属したゼミです。テーマは、囚人のジレンマで有名なゲーム理論に基づいて「人間は、幸福を得るためにどのような意思決定をし、どの程度他人と協力関係・信頼関係を築くかのメカニズムを解明する」という内容(専門用語で言うならば、契約理論・インセンティブ設計の導入部分)で、経済学部寄りの非常に抽象的な概念でしたが、例えば意思決定の仕組みは人の消費行動や企業のマーケティングに、協力のメカニズムは組織論に応用でき、経営学を考える上で根幹を支える理論なので非常にためになりました。ちなみに、諸先輩が『強者の戦略』の執筆にどれだけ協力するかについてもある程度説明できます。

なお、商学部では4年間を通じてゼミが必修となっています。1回生では半期ずつ「ものづくり」とマーケティングのゼミに所属しました。現地視察したり、反対に担当者がいらっしゃってプロジェクトの疑似体験をしたりと産学のつながりを肌で感じることができました。ちなみに、金曜5限に履修していた天体観測のゼミですが、こちらは先生が面白いという口コミを聞いて取ったものです。ちなみに同じ先生のゼミでも、別の時間に開講されているものではGPSを使って宝探しをやるそうです。

景観学概論(東京工業大学にて開講)   担当: 齋藤先生

人はどういった基準で景観の良し悪しを判断しているのか、美しい景観とは何か、ということを考える講義です。時に様々な写真を見て感想や理由を議論し合ったり、教授が紹介する哲学者の考えを批判し合ったりと密度はかなり濃かったです。普段は文系の学生しかいない環境で過ごしているので、文理の学生が同じ教室にいるというだけでも新鮮であり、意見の発想の違いにも驚かされました。一橋大学では他大学との単位互換制度が充実しており、特に東京工業大学の場合は副専攻として学べます(【(四大学連合制度) http://www.gakumu.titech.ac.jp/kyoumu/yondai/】東工大のサイトですが、現時点で最も詳しいです)。ただ、やはり副専攻制度はかじる程度しか学べないので、この講義をきっかけに、より深く学ぶための留学を本格的に意識し始めました。

現代若者論   担当: 二宮先生

「近頃の若者は○○だ」のように言われがちな話題について社会科学の視点で考察してみようという講義です。「ツイ廃(Twitter廃人)が生まれるのはなぜか」や「クリスマスイブは恋人と過ごすものという暗黙の了解ができるまでにどういういきさつがあったのか」のような、若者にとっては「あたりまえ」や「そういうもの」の一言で片付くかもしれないテーマに関して疑いの目を向けていきます。考察すればするほど、「あたりまえ」という概念があやふやなものだということに気づかされていくので面白かったです。また、講義とは別に、教員はTwitterでもタイムリーに意見や批判をつぶやいたり学生と議論を交わしたりしています。大学の教員に対するイメージも同時に変わりました。

Q2. 思い出の単位について

2年生夏学期(4月~7月)に受講したマクロ金融論という講義です。中間試験と期末試験の点数で評価するというシンプルなものでしたが、中間試験の試験日が学園祭の翌日でした。しかもその実行委員会に所属していたので、準備に忙しく試験勉強はおろか出席もままならない状態でした。片づけが終わった後に、燃え尽きた状態で試験勉強を始めて僅かながらに足掻きの姿勢を見せましたが、結局途中で寝落ちしてしまい、目覚めると試験開始5分前。焦りすぎて筆箱が見つからず、無我夢中で委員会室にあった備品のペンと消しゴムを片手に試験場まで猛ダッシュ。おかげで試験開始に間に合いはしたものの、ほぼ白紙で提出する結果となり、失意のどん底に突き落とされました。これはヤバいと後半は(試験前は)心を入れ替えて勉強したのですが…結局単位を手にすることはできませんでした。いずれは再履修しなければならないので辛いです。

Q3. 身の周りにいるすごい人物を教えてください。

国費留学で来日した留学生の友達や広告デザインで食いながら大学に通う友達、1人でスリランカを旅行した女友達など様々いますが、一番すごいと思ったのは、「偏差値30の高校にスポーツ推薦で合格しながら、一橋大学にも現役合格を果たした後輩」です。本人曰く、ちょっと頑張ってみたら合格した、とのこと。『ドラゴン桜』を体現したような感じで、心底すごいと思ってしまいました。

また、大学生は染めているというイメージがあるかもしれませんが、周囲には過去に赤・黄・オレンジ・緑・金・銀・紫・白に染めた友達(すべて別の人)がいます。なんでこんな変人ばっか集まんねんって思うくらい多彩な人が揃っています。

Q4. 学食の好きなメニュー上位3つ

1位:パワー丼

2位:揚げ出し豆腐

3位:釜玉うどん

ただ、ここ最近学食はほとんど利用していません。というのも、大学周辺に学食と同じくらいの値段でお腹いっぱい食べられる店がたくさんあるので、そちらを利用しているからです。学食のコスパ(費用対効果)と大学の規模は比例するようです。一橋の小規模さがこんな形で裏目に出るとは…

Q5. 今の大学に入って一番良かったと感じることは何ですか?

幅広いバックグラウンドを持つ人に出会え、それぞれから違う刺激を得られるところです。学問面では、世界的に有名な教授のゼミに入り指導を受けたり、産業界と結びつきの強い教授のゼミに入った縁でドコモの本社を見学できたりと貴重な経験を重ねてきました。また、学生に関しても一橋は独特で、例えば東大生は1割が開成高校出身なのに対し、一橋は出身校の偏りが少なく(最大勢力でも1000人中30人弱≒3%)、全国からまんべんなく人が集まってくるので話題が尽きず楽しいです。ただ、関西出身は人口の割にかなり少ないので関西弁をあまり耳にできず、やや寂しいところではありますが…。

余談ですが、キャンパスや大学のある国立(くにたち)はドラマやCMの撮影や番組ロケで頻繁に使われているので、芸能人に遭遇する確率が非常に高いです。実際に堀北真希(朝ドラの梅ちゃん先生の撮影)と剛力彩芽を間近で見ました!入学してからの2年間だけでもキムタクや綾瀬はるか、ガッキー、松田翔太、多部未華子などが来ています。福山雅治や吉高由里子が来るという噂もあります。また、山口百恵やSuperflyが国立在住だそうです。

Q6. これからあなたの歩んでいく道はどのようなものになっていきそうですか?また、周りの友達の進路はどういった方面が多いですか?

現在は学内の派遣留学に応募するためにTOEFLの勉強をしています。卒業後ですが、現時点では特に公務員になりたいとも思わないので民間企業に就職することになりますが、まちづくりに携わることのできる企業あるいはコンサルタントに入って働きたいと考えています。主専攻の商学・経営学よりも副専攻の都市計画の影響を大いに受けていますね。

教授曰くうちの商学部は3割が金融機関に就職するそうですが、だからといって業種に偏りがあるというわけではなく、商社やメーカーに就職する人もいれば、資格を取って公認会計士や国家公務員になる人もいます。変わったところでは、広告業界やマスコミ業界に就職する人も。また、一橋大学には、本来ならば6年かかる学部課程と修士課程を5年間で修了するプログラムもあるので、大学院に進学する人もいます。

Q7. 大学生活で打ち込んでいることを教えてください。

自由を謳歌して旅行しまくっています。バイトはその資金源です。長いもので2週間、短いものでは日帰りや夜行バスで目的地に着いた日の夜に夜行バスに乗り込んで東京に戻る0泊3日のものまで、数にして2年間で10回以上は旅に出ています。海外でカジノやバー、ディスコに行ったこともあります。

数多くの旅行の中でも印象的だったのは、2回生の夏休みに東日本大震災の被災地を巡った東北旅行でした。被災地は一度は見ておくべきです。現地で受けた衝撃から復興支援に興味を持ち、現在は岩手県陸前高田市出身者が震災後に設立したNPO法人に所属し、復興・地域活性化を目的に活動しています。そこでは都市部と現地の若者との架け橋となるゲストハウスを建設するというプロジェクトに関わっており、今年が実現に向けての正念場なので頑張っていきたいところです。なお、近い将来に関西に西日本支部を開設する構想もあります。現在の拠点は陸前高田と東京ですが、興味のある方はこちらを→【(SAVE TAKATA) http://savetakata.org/】

一方で、資格の勉強もしています。TOEFLのほかに、在学中に少なくとも簿記2級とカラーコーディネーター1級の資格は取りたいと考えていて、ぼちぼち勉強しています。他にも、過去には英語ディベートのサークルに入り、台湾で開催されたアジア大会に出場したことや、1・2年生が主体となって運営する学園祭の実行委員会に最後まで所属し、企画責任者の役職に就いたこともあります。

Q8. 自分の大学を目指している高校生へのメッセージをお願いします。

もし経済学部と商学部(経営学部)で迷っている人がいるのならば、数学が大好きとかでない限りは商学部をおすすめします!違いを英語に例えて説明するならば、経済学部は英文法で商学部は英会話のようなものです。商学部の方が実生活に密着していて興味がわきやすいです。

秋以降であれば受験生はこの段落だけを読んで、あとは合格を目指して一心不乱に勉強することだけを考えてください。重要なことは、情報や噂に踊らされないことです。○○は頭いいし…みたいな話はごまんと出ます。当たり前です。同じ大学の志望者は相応に頭がいいからです。また、模試もセンターリサーチも点数・偏差値・判定を見るためにあるのではなく、「志望者全体の中で自分は上位何%の位置にいるのか」を知るためにあるのです。仮に劣勢だったとしても焦らずにコツコツと努力を重ねることを入試日の最後のチャイムを聞くまでやめないでください。

受験までまだ時間のあるみなさんへ。大学は本当に自由です。勉強しなくても単位を落とすだけで干渉はされません。ただ、自由であるだけ自分を見失いやすいのも大学です。だからこそ、高校時代に将来についてどれだけ真剣に考えられるか、その手段として大学を選べるかが重要だと思います。死ぬほど悩んでも死にやせんよ(笑)。

大学は目標でも就職予備校でもありません。就活に学歴は通用しなくなってきている以上、大学のレベル以上に本人の中身が求められているのです。仮にも偏差値とか周囲に流されてとか何となくとかで志望校を決めてしまうと、まず間違いなく後悔するでしょう。少なくとも勉強面では。実際に感じているのは、経済学部という存在に対して高校時代に抱くイメージと大学での実情は大いに乖離しているということです。ぶっちゃけネットで検索すれば情報なんていくらでも手に入るのだから、受験する側としてもそれなりに下調べをすることは礼儀ではないでしょうか。

一橋を選んだ確固たる理由はたくさんあります。驚いたことに、中核となる部分は合格直後に書いた体験記(続・強者の戦略)とさほど変わっていなくてびっくりしました。ただ、一橋を目指すにあたって、関西では実力の割に知名度が伴っていないということは正直気にはなりました。理IIIに合格した高校の同期も誤解してましたし、地元の友達には「MARCHのHやんな?」って言われたこともあります。でも、自分の中で正しい選択だと思えるのならば、それを変えさせる権利は誰にもありません。

この文章で一橋に興味を持つ未来の受験生が増えますように。一橋を関西弁で埋め尽くしましょう!笑