物理のページ(2013年度)

【第42回】第41回の解答・解説 (2014/02/07)

第41回の問題の解答編です。

解答解説に入る前に簡単な問題の講評です。

第41回の問題は、(2)が難しく、ここから前へ進めなかった人が多かったかもしれません。ところが、(3)は(2)とはつながりがありません。しかも、(3)はそれ程難しくありません。この(3)に手を付けることができたかどうかが、この問題で合格点を取るための大きな鍵を握っています。どこの大学の問題でも、必ずしも前の設問が解けなければ後の設問が解けないと言う訳ではありません(私の授業を受けている人は授業中に何回かそのことを聞いたはずです)。難しい設問の後の設問が点数の稼ぎどころである場合も少なくありません。入試直前ですので、特に受験生の皆さんはそのことを忘れずに試験を受けるようにしてください。

第41回の解答・解説

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【第41回】導体棒を用いた電磁誘導 (2014/01/31)

研伸館物理科の網干です。初登場です。よろしくお願いします。

今年の1月末にこの原稿を提出しなければならないことを思い出した私は、昨年の12月頃にどの問題を取り上げようか漠然と考えていました。そんなとき、Nさんという生徒が私のところに質問に来ました。Nさんの持ってきた問題を見ると「共有結合」や「フラーレン」などの単語が。「これ化学の問題?」と聞くと「そうです」と。さらによく見ると「オイラーの多面体定理」とあります。これで納得しました。Nさんは「化学」の質問に来たのではなく、「数学」の質問に来たのです。「物理」の先生になぜ「数学」の質問をと思われる方が多いと思いますので、簡単に説明しておくと、私の大学や大学院での専門は数学(数理物理や偏微分方程式論)なのです。Nさんにさらに聞くと化学の市道先生が「数学の先生か網干先生に聞きに行ったら良いよ」と仰ったそうです。なるほど。しかし、私の専門は「解析」に分類され、「オイラーの多面体定理」は「幾何」に分類されます。私はあまり「幾何」には詳しくありません。ですが、ちょっと面白そうだと興味を持った私は、Nさんに「調べてみるので少し待って」と言って保留にしました。そして、この問題を強者の戦略のHPで取り上げると面白いかもと思い始めました。「物理」の先生が「化学」の問題の「数学」についてのテーマを取り上げるなんてなかなかないのでこれは良い問題が見つかった、そう私は思いました。そして、これは偶然ですが、昨年の10月頃に私は講談社学術文庫の「不変量と対称性」という本を買っていたのです(この本の著者の一人である中村博昭先生は、「abc予想」で有名になった京大数理解析研究所教授の望月新一先生とともに「代数曲線の基本群に関するグロタンディーク(Grothendieck)予想」を証明したことで有名です)。この本のことを思い出し早速読んでみるとやはり「オイラーの多面体定理」のことが書かれていました。この本だけではなく他の本やネットで調べたり、「数論幾何」を勉強している京都校チューターの辻村君(京大理学部3回生)に色々教えてもらったりしたのですが、調べれば調べる程「オイラーの多面体定理」は奥が深いことがわかってきました。これだけ前置きで「オイラーの多面体定理」のことを書いておいて何ですが、こんなに奥の深いことを自分の納得するように書くとなるとこれは締め切りに間に合わないと危機感を持った私は苦渋の選択で今回は他の問題を取り上げることを決意しました。「オイラーの多面体定理」についてはまたの機会にということでお許しください。

と言う訳で、今回は1992年京都大学前期の問題を少々改題した問題を取り上げます。「東大京大特選物理」では演習問題として、「京大阪大・医学部物理」ではテキストの問題として扱った問題です。問題のテーマは「導体棒を用いた電磁誘導」です。今年の京大の電磁気の問題は「導体棒を用いた電磁誘導」の問題になるのではないかと私は予想していて、今回の問題は京大の「導体棒を用いた電磁誘導」についての問題の典型的なものですので、京大を受験する皆さんは必ず解いてみてください。そして、次回の解説では、私の専門である「微分方程式」を用いて掘り下げた解説をしていきたいと思います。

導体棒を用いた電磁誘導

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【第40回】第39回の解答・解説 (2013/09/13)

研伸館 物理科の米田 誠です。強者の戦略ウェブサイトの物理のページ、第40回目は第39回目で紹介した『2002年度 京都大学 後期日程 論文 電気電子工学科』からの出題、「半導体メモリー」に関する問題の解答解説+αとしたいと思います。

第39回の解答・解説

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【第39回】半導体メモリー (2013/09/06)

研伸館 物理科 米田 誠です。強者の戦略ウェブサイトの物理のページ、第39回目は『京都大学 後期日程 論文入試』からの出題です。この問題では高校物理ではほとんど扱われない“半導体メモリー”や“トランジスタ”を扱いますが、それらに関する特別な知識は問われず、『高校物理で学ぶ基礎知識に基づいて問題文の指示を満足する解答を捻り出す力』が問われています。いわゆる『論理的思考力』の有無が問われます。2013年現在,論文入試は経済学部以外では実施されていませんが、この出題形式から、京都大学がどんな学生を求めていかを感じることが出来るのではないでしょうか。では、頑張って下さい。

半導体メモリー

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【第38回】第37回の解答・解説 (2013/07/05)

第37回に引き続き、藤原です。第38回目は第37回目で紹介した問題の解説です。今回は小論文、というより自由解答形式の問題を紹介させてもらいました。

「説明せよ」と要求された問題について時間制限や字数制限などが設けられた際に、慣れていないと「どこまで書くべきか」の部分で判断に迷ってしまうと思います。

説明は「原因」と「結果」を記載するのが基本です。もちろん、「原因」を先に書いてから次に「結果」を書くのが文章の流れとしては美しいと思えますが、慣れていないと中々結論まで上手く書き込めない場合も多いです。その場合、先に「結果」を簡潔に書いて、「何故なら~」といった文章で次に原因を書き込んでいくのはどうでしょうか。多少流れは悪い文章にはなると思いますが、制限時間を見てから後で文章を付け足しやすく、時間が無ければ結果だけ書いて部分点を狙う「書きやすい・点を狙いやすい」文章になると思います(今回はIの問2をそのような手法で書きました)。

今回は模範解答だけでなく、<考察>の部分では「解答を書く際にどのような部分を意識したか」といった点を記載しました。皆さん自身が記述していく際の参考となれば幸いです。

第37回の解答・解説

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【第37回】物理の小論文 (2013/06/28)

研伸館の藤原です。強者の戦略ウェブサイト物理ページ第37回(問題編)、第38回(解答編)を担当させてもらいます。夏が始まります。夏バテの主な原因「冷房のあたりすぎ」と「寝不足」には十分注意して、健康的に夏を乗り切りましょう。

物理問題の多くは計算問題で、化学や生物の様に本格的な論述を問われる事は少ないです。また数学の様に論証の正確さで点差がつく事も少ないです。自由解答形式の東大や大阪市大などでも、正しく法則を使えているかを確認するぐらいで、数学ほど厳しく論理展開をチェックされるわけではありません。

受験においては「書く力」よりも「読む力」が重要視される物理ですが、大学に入ってからはむしろ「書く力」が重要となることは言うまでもありません。また「書く力」を鍛える事は、論点をまとめる事につながりますので、普段計算問題を解くだけでは曖昧な理解になりがちな現象についても、より深い理解を促す事ができます。

今回は「書く力」を試す問題として物理の小論文問題を用意しました。神戸大学や東京工業大学などの一部の学部では、物理をテーマとした小論文の問題を出題しています。東京工業大学の方は計算問題が主で、小論文というより物理+数学の総合問題という面が強いので、今回の趣旨に沿って神戸大学の問題の方を掲載したいとおもいます。以下は大問3問構成ですが、特に挑戦してみて欲しいのが大問Iの力学です。この問題をどの様に説明するか。是非考えて見てください。

物理の小論文

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【第36回】第35回の解答・解説 (2013/04/26)

第35回の解答編です。「相対性理論」って要は何なの?と気になる人も多いかと思いますが、まずはそんなことは一切気にせず、誘導に沿って淡々と解いていってみます。実は京大の入試問題の中には、このようなある種の「割り切り」が重要となるものが存在します。いくら考えたところで、習ったことのない相対性理論なんぞ「理解」することなど不可能です。限りある試験時間内ではなおのことです。ですから、意味のわからない文章があったとしても、その部分は文章通りに受け止めておいて、それを信じて(言い換えれば与えられた理論・公式を用いて)解いていく、という姿勢が重要なのです。本問題で言えば、「等価原理」に関する説明のくだりにある

「これは、場所によって向きも大きさも異なるが、任意の点のまわりで十分小さい領域を考えると、その中では重力加速度は一定とみなしてよい。その領域内での物理現象、上のような等加速度運動をしている観測者が見るものと全く同じである。」(本文抜粋)

という部分が代表例となりましょうか。

では、解答解説です。

第35回の解答・解説

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【第35回】力学の問題 (2013/04/26)

物理講師の内多です。そういえば約1年前、第27回の問題原稿中に、「金環日食(2012年5月21日朝)の観測を非常に楽しみにしている」というコメントを掲載しました。みなさんは観測できましたか?きれいでしたよね、金環日食。しかしながら、私はというと、なんと、ちょうど金環日食の時間帯だけ太陽が雲に覆われてしまうという不運に見舞われ、残念ながら観測できませんでした・・・。当日は金環日食の中心帯が通る近畿南部ほど曇る確率が高いということで観測小旅行は取りやめ、大阪市内の自宅に待機していたのにこの有様です。ちなみに、先輩・友人の情報を総合すると、どうやら大阪市内で曇ったのは私の住んでいる地域だけだったようで、なんとも無念。まあ自然相手だからそんなこともあるさ、と自分で自分を慰めるものの、先輩・友人から次々寄せられる「こちらは観測できました!そちらはどう?」という携帯メールが心に刺さる初夏の早朝でした。

さて、本題です。問題は2012年の京都大学の過去問としました。問題のテーマは「相対性理論」。そう、かの大物理学者アインシュタインが完成させた、(おそらく)世の中で最も有名な物理の理論です。もちろん、高校では相対性理論なんて習いませんし、大学で本格的に学んだとしても完全に理解できる人がどれくらいいるかわからない、なかなか難解な理論です。ですから、この問題では、相対性理論で説明される「時計の進み方の違い」のみを取り上げ、それを高校生にも解けるように非常に丁寧な誘導をつけて実際に導いていく、という構成になっています。なお、この問題に挑戦する人は、あまりの問題文の長さに面食らうかも知れませんが、これは「非常に丁寧な誘導」をつけた結果であって、むしろ京大の教授陣のやさしさであると受け止めるべきでしょう。実際の試験ではこれを30分程度で解かねばなりませんからそんなやさしさに触れる余裕もないかも知れませんが、このページをご覧になっているみなさんはぜひ、時間をかけて構いませんからじっくりと問題を味わいながら解いていってもらえれば、と思います。

相対性理論

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