物理のページ
【第84回】2つのひもを用いた振り子運動の解答・解説(2023/01/27)
第83回に引き続き,藤原です。第84回目は前回で紹介した問題の解説です。
物理の入試問題で、あまり普段見慣れない設定の問題に出くわした際は、大抵の場合「解き方の方向性」が誘導文内で指示されており、真面目に勉強していた高校生が知っている知識(法則・公式)で解ける様に配慮されています。
よって、斬新な設定の問題に対する一般的な対処法は「焦らずに問題文を読むかえす事」に尽きます。
ただ残念ながら、「焦らず読む」というやり方でいつでも対処出来るかというと、教科書には詳しく載っていないが、応用的な物理テーマとして背景を事前に知っておいた方が良いテーマも記述試験で度々見られます。入試物理を指導する側としては、過去の入試問題から、そのような応用テーマをピックアップ→体系化して、生徒に伝える事も意識しながら授業に向かっています。
今回の問題の後半に出題されている「リサジュー図形」も、初めて出会った人は問題文から何をやらせたいのかが読み取りにくかったと思います。
すごく頻出の問題、というわけではありませんが事前に知っておかないと解くのが難しい問題の一例として、この頁で紹介しました。
では、解説を見て行きましょう。
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【第83回】2つのひもを用いた振り子運動『出典:2021年2月 名古屋大学 改』(2023/01/20)
物理の藤原です。強者の戦略HP物理ページ第83回(問題編),第84回(解答編)を担当させてもらいます。
昨年の2022年は日本や世界の情勢はめまぐるしく変化していました。一方で私個人としては,家族と仲良く暮らしつつ,やや同じ所をいったりきたりしている感がした一年でした。
今回は力学の「振り子」をテーマにした入試問題を紹介したいと思います。「振り子の性質を様々な切り口で味わいつくす」といった趣きのある問題で,終盤では「2次元的な振動:リサジュー図形」について問われていました。この「リサジュー図形」は,ばね振動や光の振動に関しては入試問題で見かけた事がありますが,振り子で見たのは初めてのように思えます。
設定を練りこめば,力学でもまだまだ斬新な問題が作れるんだと気付かされました。この問題に挑戦するときは,是非とも設問(4),(5)までひと通り取り組んでみて下さい。
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【第82回】電磁誘導回路に関する総合問題の解答・解説(2022/06/10)
本問において、同志社大学らしさが最も出ているのが空欄 オ ではないでしょうか。
加速度aを系のエネルギー関係から解く、という解法がかなり思いつきにくいですよね。ヒントとなる部分は「一定の加速度で運動し始めた」という文章でしょうか。なぜわざわざ『一定の』と書いてくれているのだろう、というところを突き詰めると「速度や移動距離が等加速度直線運動の式で出せる→運動エネルギーや位置エネルギーの変化が出せる」という思考ルートに乗ることができ、エネルギーの解法に至ることができるかも知れませんね。
ただ、このヒントからエネルギーの解法にたどりつくには高度な物理の力と読解力が必要です。同志社大学はこのような難易度の高い問題が、時には初めの方の設問から出題されることもありますので注意が必要です。
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【第81回】電磁誘導回路に関する総合問題(2022/06/03)
物理講師の内多です。
今回は2021年度の同志社大学の入試問題からの出題です。電磁誘導回路に関する総合問題なのですが、同志社大学らしく、難易度の高い問題が随所に見られます。ぜひ全問チャレンジしてみてください。
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【第80回】液体の内部エネルギーと気化熱の解答・解説(2022/01/28)
第79回に引き続き、藤原です。第80回目は第79回で紹介した問題の解説です。
今回のテーマは「内部エネルギー」でしたが、問題の解説を始める前に、教科書では「内部エネルギー」を、どのように説明しているかを確認したいと思います。
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【第79回】液体の内部エネルギーと気化熱『出典:2017年2月 埼玉大学』(2022/01/21)
今回は熱力学の入試問題を扱います。ここ数年、北海道大学や金沢大学など様々な大学で出題が見受けられている、「蒸発熱/気体と液体の共存」をテーマにした問題を扱いたいと思います。
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【第78回】2020年度の慶應義塾大学・医学部・医学科の入試問題の解答・解説(2021/06/04)
今回ピックアップした慶應義塾大学の問題は、純粋に知識のみ問う問題もあれば、その知識をもとに物理的考察を行う問題もあり、非常にバラエティ豊かですね。差のつく工夫がされている良問だと思います。もちろん、どの大学の入試問題でも、解く際の基本は「正確な知識と理論の理解をもとにして解く」ということです。知識・理論を正しく理解しておくことはとても大事ですね。
本日はここまで。またお会いしましょう。
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【第77回】2020年度の慶應義塾大学・医学部・医学科の入試問題(2021/05/28)
物理講師の内多です。
今回は2020年度の慶應義塾大学・医学部・医学科の入試問題からの出題です。私がこのページを担当するときには、そのほとんどを「頭を悩ます難問」からの出題としてきました。しかし、今回は趣向を変えます。ずばり、「高校物理の知識を細かいところまで完璧に暗記できているか」を問うことにします。では、どうぞ!
※なお、1ヵ所だけ、「高校物理の教科書の知識とは異なる設定」がなされている問題があります。それがどの部分で、どのように異なるのか、ということも見抜いてみましょう。
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【第76回】空気抵抗のある運動とv-tグラフの解答・解説(2021/01/29)
第75回に引き続き、藤原です。第76回目は第75回で紹介した問題の解説です。
この原稿は初めての共通テスト本試験の実施後に書いています。物理に関しては、従来のセンター試験の公平性を維持しつつ、分析力や思考力を試す新たな試みの問題も無理のない範囲で取り込まれた出題形式、となっていました。例年と比べるとやや平均点が低かったですが、これは次年度以降は難易度調整されていくと思います。予想どおり、グラフを扱う問題が2問ほど出題されました。どちらも従来のセンター試験でよく見られた形式ではありませんでした。
従来のセンター試験では「正しいグラフを選ぶ」問題が多かったですが、今回の2問は「グラフから状況を読み取る」問題となっていました。思考力が問われる所で、この2問の正答率は低かったのではないかと推測します。
今後も同様のグラフの読み取り問題が出題される場合、思いつく出題例としては(1)与えられた不等式を満たす範囲をグラフから読み取る。
(2)定数の横線を引き、グラフとの交点の値を考える。もしくは交点があるかどうかを判定する。
(3)範囲内の最大値、最小値を考える。
(4)グラフの傾きや面積の値に注目する。
などがあり得るのではないかと考えます。
つまり、「数学のグラフ解析問題でよく問われる事」が、物理でも問われやすくなる、という予想です。追試験の問題も早く見たい所ですが、今のところ上記の様なグラフ問題に対応するには、以下の2つの学習が必要だと思います。
(1)物理基礎/物理の教科書に掲載されているグラフには触れ、その傾きや面積がどの様な物理量を指すかを理解する。
(2) 数学の解析問題の習熟度を高める。
これから高3になる人は意識してもらえたら、と思います。
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【第75回】空気抵抗のある運動とv-tグラフ(2021/01/22)
物理の藤原です。強者の戦略HP物理ページ第75回(問題編)、第76回(解答編)を担当させてもらいます。
この原稿は、初めての共通テスト実施直前に書いています。(解答編は共通テスト実施直後に書く予定です)。今年度の受験生は、様々なアクシデントに見まわれながらの受験となりましたが、例年以上に受験生同士の「チーム意識」を強く感じる事も出来ました。出来うる限り万全な状態で受験してもらいたいと思います。
様々な予想は立てていますが、共通テストの物理でどの様な問題が出題されるか、まさに「シュレディンガーの猫(フタが開くまで分からない)」の状態です。
ただ、今後共通テストや個別試験などで、「グラフを読み取る/グラフを描く」問題の出題は、恐らく多くなるだろう、と予想されます。
現状の一般的な問題集では十分に対策がとれない、これらの「グラフ問題」を対しては、今のところ「教科書に掲載しているグラフに触れる」事が最善の策だと思います。教科書を読み返すと、物理でよく用いられるグラフについて、一番過不足なく効率的に学ぶ事が出来るなぁ、と感じます。
今回は、教科書に掲載しているグラフの中で最も有名な「v-tグラフ」を扱う入試問題で、なかなか思考力や表現力を要する問題がありましたので、それを紹介したいと思います。挑戦してみて下さい。
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【第74回】レンズを用いた干渉の解答・解説(2020/12/04)
レンズなどの幾何光学の問題を解く上で重要な要素は、名前の通り「幾何学」です。丁寧に図を書き、角度や距離の関係を図形的に把握することです。本問でも随所に現れていましたね。また、全体を通して、微小角における三角比の近似を用いた計算が見られます。京大の問題ではこのような「近似計算」が頻出ですので、京大志望の受験生は過去問を用いたトレーニングが必須です。
全体的に、基本を押さえつつも暗記だけの勉強では歯が立たないように上手く難易度を調整して作られている良問だと言えます。
本日はここまで。またお会いしましょう。
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【第73回】レンズを用いた干渉(2020/11/27)
物理講師の内多です。
今回は2003年度の京都大学、現在では廃止されている物理の後期試験からの出題です。テーマは「レンズを用いた干渉」。いわゆる「幾何光学」と「干渉」が主要なテーマです。幾何光学の解法や干渉問題の思考力問題にチャレンジしてもらいましょう。では、どうぞ。
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【第72回】電流が作る磁界『創作問題』の解答・解説(2019/10/04)
第71回に引き続き、藤原です。第72回目は第71回で紹介した問題の解説です。
今回の公式の導出は教科書には掲載していない事項で、もちろん入試本番でも導出が問われない場合は、結論の公式を述べるようにしないと制限時間内で問題を解く上で不利になってしまいます。
ただ、「導出から学べる事」が2点ありますので、理解を深めるために、公式の導出に一度取り組んでみる事は有意義ではないかと思います。今回は導出問題の解答解説の後に、「導出から学べる事」についても記載したいと思います。
なお、今回の問題では積分計算が登場しますが、解説の前に確認として、区分求積の考え方を簡単に紹介します(別の回でも紹介しています。知っている方は読み飛ばしてもらって結構です)。
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【第71回】電流が作る磁界『創作問題』(2019/09/27)
物理の藤原です。強者の戦略HP物理ページ第71回(問題編)、第72回(解答編)を担当させてもらいます。
個人的には、物理の中でも電磁気という分野は特に好きなのですが、高校生にとっては電磁気分野は物理の中でも敬遠されがちです。その最も大きな理由は「覚える事柄が多いから」だと思います。ただ、ここで更に一歩踏み込んで考えると敬遠される本当の理由は「覚える事柄が多い上に、各法則の関連性や一貫性が見えてこないから混乱する」という点にあると思います。
高校で学ぶ「電磁気」は実はつぎはぎのような構成をしていて、大学で習う「本来の電磁気学」の根本原理のいくつかは、高校の教育課程からは省かれています。根本原理を学ばずに断片的な法則を学ぶので、どうしても初学者にとってはちぐはぐな印象を受けてしまうのが混乱を生み出す要因となっています。
ただこれは致し方無い事、とも言えます。電磁気の根本原理と各法則の関連性を厳密に学ぶには必ず「高校生には少々難易度が高い数学的な証明」が必要となり、一方で高校物理教育は「数学がまだ未熟な生徒にも、物理がある程度理解出来る様に指導する」という配慮がなされますから、結果どうしても断片的な構成にならざるを得ない、というジレンマがあると思います。
私は授業をする際に、体系的な理解を促したいので数学的な証明を実際に生徒に見せる事も多々あります。ただ、やはりやり過ぎると入試問題の解法に関する実践的な話をする授業時間が無くなってしまいますので、そこら辺のバランスの取り方には日々悩み続けています。
このページは「強者」と銘打っているので、ある程度難易度の高い事をしても問題なく、高校物理の制約(数学をあまり使わない)にとらわれる事もなく、また授業時間を気にする必要もないので、都合が良いな、と思います。普段の授業で組み込む事が出来ていない事を、ここに掲載しよう、と思います。
というわけで、今回は電磁気のある法則に関する数学的証明の『創作問題』です。前置きにありますように、ほぼ数学(数Ⅲ)の問題です。証明を通して、電磁気法則の理解を深めてもらえたら、と思います。挑戦してみて下さい。
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【第70回】地球のまわりをまわる物体に関する問題の解答・解説(2019/06/14)
いかがだったでしょうか。物理に関する深い知識が必要であることは当然として、それだけでなく、物理的な理論式を近似を用いて数学的に処理していくことも非常に重要な要素となることが体験できたと思います。
そのためには、問題で問われているものがどのようなもので、どのように変形すればそれが求まるのかをしっかり考えることが重要ですね。
本日はここまで。次回またお会いしましょう。
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【第69回】地球のまわりをまわる物体に関する問題(2019/06/07)
物理講師の内多です。
今回は2019年度の京都大学からの出題です。地球のまわりをまわる物体に関する問題ですが、京都大学らしく、誘導に沿って適切な理論式を立て、近似を用いながら解いていく、という形式です。
物理の本質的な理解と数式の処理能力を問われる良問ですね。さあ、ぜひチャレンジしてみてください。
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【第68回】思考力を問う物理問題の解答・解説(2019/04/26)
第67回に引き続き、藤原です。第68回目は前回紹介した問題の解説です。
今回の問題は設問(a)、(b)に分かれています。(a)の方は、難易度は低くありませんが従来の物理入試問題と同様の形式の問題で、誘導文を良く読んでいけば、解答すべき事は明確に決定します。物理の入試問題に慣れている人であれば、「特別な思考力」を用いなくても、解答出来たかと思います。
「特別な思考力」を必要としたのは、設問(b)の方だと思います。ここで与えられている「高度と温度のグラフ」は、実は物理ではなく地学で学ぶ事になるグラフで、物理選択者はもちろんこの様なグラフを扱う機会は無かったと思います。事前知識なしで与えられたグラフについて、物理の法則を用いて考察する、という部分が「特別な思考力を問う問題」と言えるのではないでしょうか。
個人的に感じる事として、地学現象は「物理法則の具体例」として扱える題材が多く、今回の様な「物理の思考力を問う問題」を作成するときに、非常に便利な教科である、と感じています。私自身、地学に多少詳しいので、このような物理と地学をコラボした問題の作成に、今後挑戦してみたいと考えています。
今回は模範解答の他に、<考察><参考>の部分で、今回の問題を深く掘り下げた思考について記載しています。この<考察><参考>の部分が、今後思考力を問う問題、を扱うにあたって、重要な部分ではなかろうかと考えています。
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【第67回】思考力を問う物理問題『出典:2018年度 滋賀医科大学 医学部』(2019/04/26)
突然ですが、『全国大学入試問題正解』(通称『電話帳』)という冊子はご存知でしょうか。毎年旺文社が発行している、最新年度の大学入試問題を科目ごとに総評・解答・解説付きで掲載している冊子です。多くの受験生は赤本や25カ年などで過去問演習を行う人が多く、この冊子の事は知らない人もいるかもしれません。一方で指導する側が最新の入試問題研究を行う際に、この『電話帳』は大変重宝します。「今年単振動を出題したのはどの大学か?」「ダイオードの出題が年々増えて来ていないか?」なども、索引を通して調べる事が出来るので本当に便利です。
この『電話帳』ですが、掲載問題について大問ごとに<基本的><やや難><難>や、<頻出>等のマークを付けています。そして2、3年ほど前から、新たに<思考力>というマークを一部の問題に付ける様になりました。「思考力を問う問題」にこのマークを付けているみたいです。更に今年発行されたもの関しては、全科目合冊で、この「思考力を問う問題」だけをピックアップして編集した冊子が出版されました。 冊子内の説明文を見ると、分析力、判断力、推測力、表現力を総合して思考力と定義し、どの問題にマークを付けるかは、作成に関わった専門家と編集者の判断で決めているとの事です。必ずしも難易度の高い問題がピックアップされているわけではなく、<難>だけど<思考力>マークは付いて無かったり、逆に標準レベルの問題だが<思考力>のマークが付いていたりしています。
推測ですが、「物理以外の分野の内容が題材として物理問題と融合する形で問題文中に登場したときに、臨機応変にその場で与えられた情報を上手く処理・判断する力」を思考力の一つの形とみなしているのではないかと考えています。変化していく入試制度の中で、指導者としては、この様な「思考力を問う問題」を作成したり、出会った問題が「思考力を問う問題」であるかどうかを見極めたりする力を鍛えていかなくてはならないな、と強く感じます。
今回はそのような「思考力を問う問題」の中から一題紹介させて頂きます。
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【第66回】静電気力に関する思考問題の解答・解説(2018/06/15)
解答編です。さっそく解答解説に移りましょう。
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【第65回】静電気力に関する思考問題(2018/06/08)
物理講師の内多です。
今回は静電気力に関する思考問題を作成してみました。導体に外部から電荷を近づけると、静電誘導により導体に電荷が誘起されるのですが、これらの電荷間に生じる静電気力を簡単なモデルで計算してみよう、という問題です。
思考問題とは言っても誘導を丁寧につけていますので、その誘導にしっかりと乗ってモデルを理解すれば、あとは数学的にガシガシ解くだけです。さあ、ぜひチャレンジしてみてください。
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【第64回】第63回の解答・解説 (2018/04/02)
第63回に引き続き、藤原です。第64回目は前回紹介した問題「ミリカンの実験」の解説です。
普段あまり触れていない題材の問題かと思いますが、誘導文に従えば、解法は迷う事はなかったかと思います。ほぼ計算力で勝負が決まる問題です。
実はこの問題、ある改訂を行うと非常に難しい問題となります。また、2020年以降の物理問題では、そのような改訂があり得るのではないか?と勝 手に予想しています。
今回は模範解答の他に、<余談>では物理的な雑学を記載し、<考察>の部分では「今後高校生が物理を学ぶ上で、新たに鍛えていかなければならないと予想されるもの」を記載してみました。<考察>の方は、2017年現在で受験生の方々にとっては、大学生になった後、実験などを実施する際に必要となる部分であると思います。参考にしてみて下さい。
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【第63回】ミリカンの実験 『出典:2005年度 早稲田大学 理工学部』 (2018/04/02)
研伸館の藤原です。強者の戦略HP 物理ページ第63回(問題編)、第64回(解答編)を担当させてもらいます。
2020年から大学入学希望者へのテスト形式が変化します。この原稿を書いている2017年12月の段階では、理科については新しいテスト形式においてどの様な出題の形になるのか、まだ情報は公開されておりません。
他教科の情報や、統一的な主題である「主体的・対話的な深い学び」の観点から、理科に関しては下の2点のような出題が多くなるかと予想されます。
(1) 具体的な実験などをテーマに、実験データから必要・不必要な情報を見分けたり、データから導かれる結論を考察したり、実験結果を変えるために必要な要素を検討させる問題。
(2) 高校の履修範囲以外の科学的テーマについて、必要な知識は与えた上でその場で検討させる問題。
昨年度の強者の道の物理ページでは、(2)にまつわる問題を出題させてもらいましたが、今回は(1) にまつわる問題として、「ミリカンの実験」を紹介させて頂きたいと思います。
(1)の様な「結果から法則を考察する」タイプの出題は、生物においては従来の入試問題においても非常に多く出題されてきました。化学においては「結果から法則を考察する」タイプと「法則から実験結果を予想する」タイプの出題のバランスがとれていると思います。一方で、物理は現状の入試問題において、「結果から法則を考察する」タイプの出題はほぼ見受けられません。物理で最も有名な実験「ヤングの実験」においても、出題されるときは「条件を変えた場合の結果を予想する」タイプの出題が大半を占めます。
2020年度以降、理科の中で最も出題形式が変化しそうなのは物理ではないか?と個人的には危惧しています。(数学との融合も危惧しています)。今のうちから備えとして、化学、生物、地学などの出題の方法論を学び取り、物理にそれらのエッセンスを取り込むにはどうしたら良いか、といった事を考えています。
今回は現状の物理の入試問題においてほぼ唯一の、「実験データを必ず扱う」問題である「ミリカンの実験」 を紹介させて頂きます。教える側にとって、現状で最も興味を持っている問題ですが、受験生の皆様にとっ ても、解き慣れた「原因→結果」を問う問題だけでなく「結果→原因」も扱う問題ですので、出題されたと きに戸惑いやすい人も多いかと思います。是非挑戦してみて下さい。
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【第62回】第61回の解答・解説 (2017/06/16)
第61回の解答編です。さっそく解答解説に移りましょう!
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【第61回】京都府立医科大学より気体に関する問題(2017/06/09)
一年振りとなります。物理講師の内多です。
一年前の原稿執筆の折には熊本の震災がありました。その後も、日本列島は地震や台風などの自然災害にたびたび見舞われています。
被災地の復旧・復興は徐々に進んできているとはいえ、完全な復興にはまだ時間がかかるでしょう。常に被災者に寄り添い、また災害を風化させず、次に備える。このことを我々は常に忘れずにいたいものですね。
さて、今回の問題です。
2016年度の京都府立医科大学の問題をピックアップしました。気体に関する問題ですが、問題の前半と後半で問題に対するアプローチがかなり異なります。特に後半部分については、問題文の誘導に沿って数学的にテキパキと処理をしていく必要があります。
ぜひチャレンジしてみてください。
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【第60回】第59回の解答・解説 (2016/11/18)
第60 回目は第59 回目で紹介した『2015年度 大阪大学 前期日程(改題)』からの出題「ラジオ の受信の仕組み」に関する問題の解答解説+a です。
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【第59回】ラジオの受信の仕組み(2016/11/11)
今回の問題は、「大阪大学 前期日程 物理(改題)」からの出題です。
この問題は第53回と同様に交流回路におけるリアクタンス、インピーダンスや電流と電圧の位相のずれに関する計算がテーマとなっています。改題により、理解がスムーズになるようにしました。
これらの計算を通じ、(ゲルマニウム)ラジオの受信の仕組みを理解しましょう。
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【第58回】第57回の解答・解説 (2016/08/12)
今回の様な問題は、昔の問題集や過去問集の解説ページを見ると、<難易度:易>、<基本的> というマークが付いている事が多いです。現在の課程の教科書で学習している人にとっては、「どこが易!?」といった感想になると思います。
入試問題における難易度は、扱うテーマの理論的な難しさだけでは決まりません。「大概の問題集に掲載されていて、ほとんどの人が見た事ある問題」 「理屈は良くわかっていなくても、計算の仕方だけは暗記している問題」などは正答率が高くなり、結果的に難易度は易の扱いになります。
模範解答の他に、問題と模範解答では曖昧にしている部分を<補足>の部分で触れています。参考にしてみて下さい。
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【第57回】回転運動と力のモーメントの関係(2016/08/05)
今回の掲載問題は岩手大学で1984年(昭和60年)に出題された問題の改題です(そのころ私は仮面ライダーの変身ベルトを毎日装着していました)。
今回は普段と異なり、現在の高校範囲ではない【問題】を出題します。また、【問題】の前に必要な知識を【参考理論】として簡潔に記載します。実際の学力評価テストとは異なる形かと思いますが、「知識ではなく知恵をためす問題」の1つの形かと思います。挑戦してみて下さい。
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【第56回】第55回の解答・解説 (2016/04/30)
第55回の解答編です。本問は地震波をテーマに、波の三大性質と言える「干渉」「反射・屈折」「ドップラー効果」のすべてを問うています。総合力を問われる問題であると言っていいでしょう。では、解答解説に移りましょう。
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【第55回】波動(地震波) (2016/04/22)
物理講師の内多です。
次々と配信されるネットニュースの速報が気になり、原稿作成が遅々として進まない自分がいます。
平成28年(2016年)4月14日夜に熊本地方を震源として発生した一連の地震は、4月16日未明になって「本震」と推測される最大規模の地震に至りました。私がいま原稿を書いているときにも余震が続き、救助作業、復旧作業の障害となっています。この一連の地震が一刻も早く収束しますように、そして被災地の復興が一日も早く遂げられますように、と祈るばかりです。
自然災害のニュースに触れるたびに、何か被災地のために出来ることはないか、といてもたってもいられなくなる高校生も多いことでしょう。お小遣いの中から工面して義援金を送ったり、復旧のためのボランティアに参加したり、積極的に行動している高校生もいるはずです。非常に尊い行為です。しかし、それらのことが今すぐにはできない高校生も多いはずです。もしそうであるならば、ぜひ、焦らずに今の「学び」を続けてください。自然災害のニュースに触れて、例えば、(被災者の方々に寄り添ってケアをしたい)、(地震による被害をより小さくするような建築物を作りたい)、(自然災害の状況を全国に伝えるジャーナリストになりたい)などの将来像がおぼろげながらに形作られたとしたら、それを叶えるための必須条件は「様々な一般知識・専門知識を得ること」でしょう。それらのうちの「一般知識」は、高校の学習内容が広くカバーしているものと私は思います。あなたたちの「学び」が後に開花し、(悲しいことですがきっと起こるであろう)「将来の災害の被災地」であなたたちが大きな力となればよい。私はそう願います。
今回は、当初予定していた問題を急遽差し替えました。2005年度の東北大学の後期試験を取り上げます。分野は「波動」、テーマは「地震波」です。私がみなさんに提供できる「学び」の分野は「物理」くらいなものです。地震波も立派な波動の一種であるという「一般知識」を、ここで体験してもらえればと思います。
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