生物のページ(2012年度)
【第30回】第29回の解答・解説 (2012/10/26)
ノーベル生理学・医学賞の日本人受賞者は、1987年の利根川進氏(理化学研究所脳科学総合研究センター長)以来で、山中伸弥氏で2人目となります。
利根川氏は「抗体を作る遺伝子は『DNAの組換え』により極めて多種類作られる」ことを示しました。これは「利根川理論」と呼ばれ、数少ない遺伝子から100億種類以上とも言われる多種の抗体を作り出すメカニズムです。
ところで今回の受賞のポイントである「細胞の初期化」について、自然科学史的に順を追って確認してみましょう。
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【第29回】「祝!ノーベル賞受賞!ガードン博士の
アフリカツメガエルの核移植実験」 (2012/10/19)
ノーベル生理学・医学賞は、動物生理学や医学の分野で重要な発見をした人に授与されます。
今年のノーベル生理学・医学賞は、成熟した細胞に対してReprogrammingにより分化万能性を持たせることができることを発見したとして、イギリスのジョン・ガードン博士と,日本の山中伸弥博士が受賞しました。山中伸弥博士が発見したiPS細胞に関する入試問題はよく出題されていますので、ジョン・ガードン博士が行った核移植実験についての入試問題を紹介します。核移植実験からiPS細胞までの技術の発展を簡潔にまとめている問題です。
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【第28回】第27回の解答・解説 (2012/06/08)
かま形赤血球は、ヘモグロビンを構成している2種類のポリペプチド鎖のうち、βグロビン鎖が大きく変形したため、ヘモグロビンが凝集(直鎖ポリマー化)し、それに伴い低酸素環境下での赤血球の形状が大きく変化したものです。かま形赤血球は酸素運搬量が正常赤血球よりも少ないために「貧血症」を引き起こすだけではありません。かま形赤血球は形が歪んでおり弾性に乏しいため、血管内壁に付着しやすく、毛細血管や細動脈を閉塞させます。また、かま形赤血球はもろいので、簡単に溶血し、さらに毛細血管通過時や脾臓内等で壊れやすく、脾臓機能障害の原因となったり骨の成長を妨げたりします。
そもそもβグロビン鎖が大きく変形した原因は、βグロビンのアミノ酸配列を規定するDNAの塩基配列において、塩基が1文字置換されたことにあります。その結果、βグロビンを構成するアミノ酸の一つがグルタミン酸からバリンに置き換わり、そのせいで立体構造が大きく変化しました。典型的な遺伝子突然変異の例として教科書によく出てきます。
今回取り上げたお茶の水女子大の入試問題は、さらに一歩発展させた内容を問うています。
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【第27回】かま形赤血球貧血症とその関連問題 (2012/06/01)
今回は少し昔に出題された問題を紐解いてみます。
「かま形赤血球」は遺伝子突然変異の代表例として教科書にも頻繁に取り上げられています。しかし、それを素材にどのように問題に加工するかという点では各大学で様々です。今回紹介する問題は、多方面へ話題を展開しており、実力養成にはもってこいの問題ですが、この問題を試験場で解かされている受験生にとっては、自分の実力を試されるプレッシャーを感じずにはいられませんね。
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