英語のページ(2015年度)

【第57回】第56回の解答・解説 (2015/07/17)

京都大学の英語と言えば英文和訳と和文英訳がメインで、内容一致問題や空所補充問題はたまに出る程度、というのが2000年以降続く傾向なので、京都大学が今回紹介したような問題を出していたことに驚いた人もいると思います。ですが、京都大学もかつてはさまざまな形式の問題を出題していて、2014年度のこのページではむしろ現在の東京大学っぽい京都大学の問題(1980年)を紹介しています。

今回の問題は、設問形式だけを見れば現在の京都大学とはだいぶ趣を異にしていますが、選ばれた題材(John Barth (1956) The Floating Opera)の抽象度の高さはいかにも京都大学といった印象を覚えます。そして、英文を読み解く際に何に注意すれば良いかという、いわば英文解釈の「作法」は昔から変わっていないのだなと感じます。

それでは、1文ずつ本文を読み解きながら解答を確認してゆきましょう。

第56回の解答・解説

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【第56回】京都大学の過去問より (2015/07/10)

変わらないでいることは、変わり続けること以上に困難なことかもしれません。

今この文章を読んでいる貴方は、昨日の貴方とは幾つもの点で異なっているでしょう。毛髪の長さは昨日とは違っているでしょうし、体重にも多少の増減があるでしょう。体調や機嫌の良し悪しも、昨日と全く同じということはないでしょう。そもそも、今の貴方は昨日の貴方よりも1日長く生きているのですから、その1日分の『歴史』が貴方を昨日とは違う存在へと変えている筈なのです。もっとも、その『歴史』が貴方という存在のアイデンティティーを揺るがすほどの変化をもたらすかどうかは、全くの別問題ですが(ごく個人的なことを言えば、私はこの文章を通じて貴方にその変化をもたらそうと試みています)。

昨今、2020年に向けた新たな入試制度をめぐる議論が活発化しています。具体的に何がどう変わるのかは今後の展開を見守る他ありませんが、現行の教科の枠組みすら超えてしまいそうな勢いすらある中で、相も変わらず「英語」という旧態依然とした枠組みの中でこの原稿を書いているという自分のこの状況には苦笑を禁じ得ません。その一方で、果たして2020年になった途端に大学――強者を志す貴方が目指すにふさわしい大学――が受験生に求める力の種類や質が劇的に変化することがあるのだろうか、と問われると、私は俄には首肯しかねます。少なくとも、それぞれの大学がこれまでに確立してきた、いわばアイデンティティーとでも言うべきものを粉微塵に吹き飛ばすほどの破壊的変化は生じないだろうと私は考えます。もちろん、時代に応じて求められる力の種類は変わるでしょうし、それほど重要視されなくなる力もあるのかもしれません。ですが、入試問題の根底に流れる受験者へのメッセージは、たとえ科目融合などにより外面的な変化が生じたとしても、やはり変わらないのではないかと思うのです。だからこそ、過去問研究は今後もしばらくは入試対策の王道となってゆくでしょう。

前置きが長くなりました。はじめての人は、はじめまして。以前からご愛顧頂いている方は、お久しぶりです。研伸館の池吉です。今年度も私が問題を提供してゆきます。

今回は、1977年の京都大学の問題からの出題です。設問形式は、和訳×英作文という近年の出題形式とは大きく異なっています。果たしてこの年の京大英語は現在とは全くの別物なのでしょうか、それとも根底には一貫して変わらない何かがあるのでしょうか。それを見極めて欲しいと思います。

それでは、解説編で再びお会いしましょう。

京都大学の過去問より

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