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【第74回】原典との比較から見えてくるもの1[2019東京大学編](2019/06/21)

今回の「強者への道」では、東京大学、京都大学、大阪大学が出題した英文を原典と比較することで見えてくることをお伝えしてゆきます。入試問題の解法をお伝えするわけではないので直接的な実利に乏しい連載になると思いますが、市販の解説書のレベルに飽き足らない人に刺さることを目的にしたいと思います。

今回は、東京大学の英語についてです。

東京大学は、英語の試験で出題した文章の原典情報を公表していません。そのため、原典情報については私の推測の域を出ないことを予めご承知置きください。

原典との比較から見えてくるもの1

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【第73回】英語から学ぶ1「思索のアルバム(4)」(2017/07/27)

Wittgensteinが“Thus this book is really only an album.”(それ故にこの本は真の意味で単なるアルバムである。)と述べたとき、彼が一体何を伝えようとしていたのか それが本稿の出発点でした。第1パラグラフでは、Philosophical Investigationが思索を体系的にまとめたものではないこと、思索がある主題から別の主題へと変遷し続けることこそがWittgensteinにとって本質的であることが述べられていました。続く第2パラグラフはそのように考えるに至った思考を説明したものになっていましたが、その中でWittgensteinは「思索」(the thoughts)を「旅」(journeyings)に、「哲学的注記」(philosophical remarks)を「景色のスケッチ」(sketches of landscapes)に、それぞれ喩えています。

英語から学ぶ1「思索のアルバム(4)」

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【第72回】英語から学ぶ1「思索のアルバム(3)」(2017/07/20)

Philosophical Investigation(『哲学探究』)の序文第1パラグラフから読み取れるのは、本書がWittgensteinの巡らせた思索をそのままの順番で書き記したものであること、そしてそれ故に議論がある主題から別の主題へと変転してゆくということでした。これは普通の書籍では考えにくい構成ですが、Wittgensteinは「思索がある主題から別の主題へと、自然な順序で、そして途切れることなく進んでゆくことこそが本質的である」(the essential thing was that the thoughts should proceed from one subject to another in a natural order and without breaks)と述べています。第2パラグラフはこの発言の真意を説明するものとなっています。

英語から学ぶ1「思索のアルバム(3)」

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【第71回】英語から学ぶ1「思索のアルバム(2)」(2017/07/13)

Wittgensteinが自らの本を“really only an album”(真の意味で単なるアルバムである)と述べたことの真意を追究するためには、どうやら「本」や「アルバム」の辞書的な定義に頼っていてはダメなようです。それでは、今回はWittgenstein自身の記述から「アルバム」という語の意味を探ってみたいと思います。

Wittgensteinは“Thus this book is really only an album.”と結論付けるまでに3つのパラグラフを要しています。序文ということもあり、1つ1つの文は内容的にも構造的にはそれほど難解ではありません。1文ずつ内容を確認してゆきましょう。なお、本稿は強者を志す中学・高校生を対象にしたものなので、哲学的議論としての正確さよりも高校英文法の領域と大学受験レベルの語彙レベルを逸脱しない範囲で話を進めてゆくことを予めご承知置き下さい。

英語から学ぶ1「思索のアルバム(2)」

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【第70回】英語から学ぶ1「思索のアルバム(1)」(2017/07/06)

日本語という言語は「てにおは」を変えるだけで様々な含みを文に込めることができます。たとえば、「英語を.学ぶ」という文において英語は学ぶ対象..を意味していますが、「英語で.学ぶ」という文では英語が学ぶ手.段.であることを意味するかもしれません。「英語から..学ぶ」という文はどうでしょうか。英語が学びの対象..ではあるという点では「英語を.学ぶ」と同じですが、この文からは学びの対象の中に英語学習の枠に留まらない『何か』があるような印象を受けます。

今回からお送りする『強者への道』では、英語学習における第3の側面すなわち「英語から..学ぶ」に主眼を置き、強者を志すあなたが解き明かすにふさわしい『何か』を備えた文章を紹介してゆきたいと思います。

英語から学ぶ1「思索のアルバム(1)」

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【第69回】第68回の解答・解説(2017/05/19)

それでは、最新の東京大学の入試問題を題材にして、「英文を前から読む」ということについて説明してゆきます。

第68回の解答・解説

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【第68回】2017年度東京大学より(2017/05/12)

英文を速く読めるようになりたいという願望を抱いている人はたくさんいると思いますが、その大前提は、返り読みせずに左から右に読み流せることです。また、それはリスニングの力にも影響しますから非常に大切なことです。

そのためにもまず、最初はスローモーションでもよいですから、正しく左から右へ読める力を育み、その英文を復習することを通して少しずつナチュラルスピードまでアップする、という反復学習が必要になってきます。英語の学習はピアノなどの楽器の演奏技術の習得プロセスと似ていると言われます。1曲を完璧に弾けるようになったら次の練習曲へ進み、そしてそれが完璧に弾けるようになってからさらにその次へ…そしてある程度の数の楽曲が完璧に(正しい指使いとテンポやスピードで弾けるように)なったときに、新しい楽譜を見てもさっと曲を演奏できるようになる、あのプロセスと似ているからです。

正しいフォームを反復練習を通して体にしみこませ、少しずつ上を目指すところなどは、スポーツにたとえられることもあります。

本稿では、「英文を前から読む」ということはどういうことかについてお話をしたいと思います。以下は、最新の2017年度の東京大学の英語の入試問題です。できる限り返り読みせず、答案を作成してみてください。可能であれば、その際に(前から読む際に)、どの単語を見たときに何を考えたかもメモしておくようにしてください。

2017年度東京大学より

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【第67回】第66回の解答・解説 (2017/02/03)

今回は、以前までに行ってきた解説とは異なり、個々の文の構造や展開を詳説することはせず、設問を読み解くことに軸足を置いて解説を行ってゆこうと思います。これと並行して、説明問題(設問文に「説明せよ」とある問題)への対処法についても説明してゆきます。

なお、今回は説明問題が設問の中心となっていることもあり、英文の本来の構造よりも日本語としての自然さを重視して訳出している箇所が少なからずあることをご承知置き下さい。

それでは解答・解説です。

第66回の解答・解説

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【第66回】2002年大阪外国語大学(現在の大阪大学外国語学部)の前期より (2017/01/27)

出題は、2002年の大阪外国語大学(現在の大阪大学外国語学部)の前期日程です。どれが件の問題かは、今は敢えて伏せておきます。自分なりの答案を用意した上で、次回の解説編に臨んで下さい。

2002年大阪外国語大学より

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【第65回】第64回の解答・解説 (2016/10/21)

今回の問題は、与えられた設問に答えるという営みに限って言えば「面白みに欠ける」「強者にふさわしい問題と言えるかどうかは疑問」と言われてしまうかもしれません。ですが、同時に「和訳問題にされたら苦しいだろうな」「もし選択式でなくて記述式だったら苦しいかも…」と思ってもらえるだろうと信じて、この問題を取り上げることに決めました。

なお、今回は和訳問題としての出題ではありませんから、受験の枠をなるべく越えない範囲で、直訳的でない訳になっていることを予めご承知置きください(もちろん、訳自体は池吉のオリジナルです)。

第64回の解答・解説

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【第64回】1987年大阪大学より(2016/10/14)

まだ捻くれ者の高校生だった頃、私はやけに「偶然」という言葉を毛嫌いしていました。 なぜ毛嫌いしていたのか、その理由は今となっては思い出せませんが、きっと当時の池吉少年は、何かの漫画を読んで感化され、「全ては必然なのだよ」とかイタイことを宣っていたのでしょう。(今で言う「中二病」というやつでしょうか?)

今回ももちろん英語の問題を扱います。「偶然」という言葉が登場する文章なので、導入の話と全く無関係というわけではありません。それでは1987年大阪大学より出題です。

1987年大阪大学より

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【第63回】第62回の解答・解説 (2016/07/15)

今回の問題は、日本語の「忘れる」や「覚えている」、「思い出す」などに対応する英語表現がそれぞれどのようなニュアンスをもつかの説明を与えた上で、実際にそれらを適切に運用するよう求めるものでした。FORGET と REMEMBER 以外の語の第一義は「忘れる」や「思い出す」ではありませんが、文脈によっては日本語の「忘れる」や「思い出す」の訳語として FORGET や REMEMBER 以外の語を用いる方が適切な場合があります。(A)と(B)で示された語の定義に従って(C)の各文の文脈に最も適した語を選べ、というのが 今回の問題の趣旨ですから、「動詞の語法を覚えてさえいれば容易に正答を選べるだろう」と高をくくって(A)、(B)を読み飛ばしてしまった人は途方に暮れてしまったかもしれません。

まずは (A) の内容を確認してゆきましょう。

第62回の解答・解説

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【第62回】1990年大阪大学第3問より (2016/07/08)

今回は、英語という外国語を、日本語とのギャップを意識しつついかに学んでゆくかについてのひとつのアプローチを、入試問題を使って紹介したいと思います。

1990年大阪大学第3問より

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